自民党王国はどこ? 得票率上位に各地の村、共同体の繫がり反映か
衆院選の比例区では、有権者は投票用紙に政党名を書くことになる。前回2021年衆院選では、自民党が政党トップの1991万票(得票率35%)を獲得した。自治体(一部の自治体は自治体内の選挙区別)の自民党得票率を調べてみると、全国各地の「自民党王国」が見えてきた。一方、2位の1149万票(同20%)を得た立憲民主党は北海道での強さが際立った。 【自民・立憲が強い自治体一覧】自民2位に山口県長門市、その理由は 自民党の得票率が最も高かったのは、九州山地の山奥にある人口約1千人の宮崎県西米良村(同70%)だ。「令和の桃源郷」をうたい、秘境観光の定番スポットとして知られる。 5位には高齢化率日本一の群馬県南牧村(同62%)、7位には離島の大分県姫島村(同62%)、10位には山林が9割を占める宮崎県諸塚村(同58%)と、全国の「村」が上位になった。 松本正生・埼玉大名誉教授(政治意識論)は「共同体のつながりが強い村は、投票の動機はまず『ひと』で、政党はむしろ後付けなのではないか」と話す。村議はほとんどが保守系。村議がつながりのある自民党の国会議員への投票を地元の有権者たちに促し、連動して比例も自民に投じられる――そんな見立てだ。 3位の青森県六ケ所村(同64%)や9位の山口県上関町(同59%)は、原子力関連施設の立地・立地予定自治体だ。4位の広島県江田島市(5区域で同63%)は旧海軍兵学校が立地し、現在も海上自衛隊の幹部候補生学校がある。松本さんは「原発関連の計画や自衛隊の施設があることで国から交付金が出たり、商売に恩恵があったりすることが与党への支持につながるのだろう」と推測する。
朝日新聞社