津田学園 寮生活で結束力磨く 家族のありがたみかみしめ 料理や洗濯に四苦八苦 /三重
<第91回センバツ> 津田学園(桑名市)の野球部員は約50人。うち15人が学校近くの寮で共同生活をしている。6畳の部屋に2人ずつ相部屋で暮らす。中学まで実家で家族と暮らしていた選手にとって料理や洗濯は初めてで、入寮当初は戸惑いも多い。しかし、一緒にいる時間が長い分、寮生同士の結束力は強く、15人は「寮の生活は楽しい」と口をそろえる。【谷口豪】 寮から学校までは自転車で約5分。寮生は出身地別では兵庫県6人▽三重県5人▽愛知県2人▽福井県2人。 岩戸隼樹選手(1年)=愛知県東海市出身=は、洗濯や身の回りの整理整頓に苦労した。「練習で疲れていても身の回りのことをしないといけない」。仕事で疲れて帰ってきた後に自分の身の回りの世話をしてくれた親のありがたみをかみしめたという。阿万田琉希選手(2年)=兵庫県南あわじ市出身=は「洗濯機で柔軟剤の入れ方が分からなかった」。時に失敗を繰り返しながら、共同生活について学んできた。 料理は当番制だ。寮に近い佐川竜朗監督の自宅の1階を寮生の食堂として使い、食事当番を務める1年生が2人1組で全員分を作る。メニューは佐川監督が栄養バランスなどを考えて決める。 大人数分を調理するのは、野球よりも大変な作業だ。松尾夏希選手(2年)=愛知県武豊町出身=は「パスタを作った時に、水の量を誤り、パサパサになって作り直した」と、失敗談を披露する。 取材に訪れた日のメニューは、カレーライスと、もやしやニラ、白菜の入ったスープギョーザ。中村宇亜(のきあ)選手(1年)=神戸市出身=は、入寮当初は包丁の使い方に四苦八苦したほか、「先輩においしくない料理を出すわけにいかない」という気苦労もあったと明かす。今では料理が得意になり、「今日の味付けはバッチリです」と笑顔を見せた。 食卓を囲みながら、選手たちは雑談に花を咲かせる。学校でのことやグラウンドでのこと、時には恋愛話も。笑いが絶えない日々だ。前佑囲斗投手(2年)=亀山市出身=は入寮当初は寂しいと感じる瞬間もあったというが、2年近くが過ぎた今は「みんなと一緒にいると心から笑い合えるし、今では先輩後輩も関係なく家族のような存在」と語る。 佐川監督は寮生活について「自分たちがどれだけ家族に支えられているのかを知り、『野球ができることは当たり前じゃないんだ』と感謝の気持ちを持ってほしい」と話していた。 〔三重版〕