伝統文化の「体験」と「継承」をマッチング 担い手不足を補う新たな取り組み 岐阜
メ~テレ(名古屋テレビ)
少子高齢化と伝統文化の継承は、各地で問題になっています。岐阜県飛騨市で、先週開催された「古川祭」。担い手不足を補おうと、新たな取り組みを始めました。 毎年4月19日と20日に飛騨市古川町内で行われる、古川祭。 190年以上の歴史があるとされる気多若宮神社の例祭で、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。 呼び物の「起し太鼓」で、さらし姿の男たちが荒々しくぶつかり合うのが見どころの一つです。 しかし今、“担い手不足”に直面しています。 「少子高齢化。若者が高校を卒業したら地元を離れる、これが一番多い。先人から受け継いできた伝統を、守っていかなければいけない。僕らの年代で絶えさせたと言われたくない」(起し太鼓主事 青龍組 総司 藤澤裕次郎さん・66歳) 伝統文化を存続させるため、今年初めての取り組みを行いました。 それが「ヒダスケ!」というマッチングサービス。 飛騨市内の様々な困りごとと、それを助ける市内外のボランティアとを結びつけるサービスで、2020年に誕生しました。
「ヒダスケ!」で参加者を募集
今回「古川祭」の参加者を募集すると、市内外から2日間でのべ45人が集まりました。 「写真とかでしか見たことないが、みんなの活気を感じるような祭りだったので、見るだけじゃなく体験してみると違うかなと思い、やってみたいと思いました」(大学院生 中津川柊太郎さん・23歳) そう語るのは参加者の1人、静岡県出身の大学院生・中津川柊太郎さん(23)。 今は京都の大学で、森林にまつわる研究をしています。 さらしと地下足袋に着替えた中津川さんは、本番で「起し太鼓」の「櫓担ぎ」を担うことになりました。
午後8時から深夜0時すぎまで行われる「起し太鼓」は、直径80センチの大太鼓が町内を回ります。 途中、長い棒に小さな太鼓を括り付けた「付け太鼓」が櫓に突進。 「付け太鼓」は、大太鼓に最も近づけるのが名誉とされているため、激しくぶつかり合います。 中津川さんの後ろから何度も押し寄せる「付け太鼓」に、押しつぶされそうになりながらも櫓を守ります。 そうして日付が変わる頃、櫓は広場に戻ってきました。 「やりきった感で充実しています。僕自身楽しめたので、地元以外の人も楽しめる祭りと感じていて。機会があればまたこういった形で手伝えて、自分も楽しめればいいと思います」(中津川さん)