〈奥能登豪雨〉「元日に戻った気分」 津波被害の珠洲・宝立、また浸水
地震の深い傷跡が残る珠洲市の集落を、今度は猛烈な雨が襲った。若山川や鵜飼川など、市内にある大小の河川が次々と氾濫。津波や液状化現象の被害を受けた集落や田畑、道路が浸水した。市街地から山地を隔てて北側にある外浦側の集落は土砂崩れで完全に孤立したまま。「元日に戻った気分だ」。住民はぼうぜんと濁流を見詰めた。 【写真】地滑りで大量の木や土砂が流れ込んだ集落=輪島市町野町桶戸 地震で深刻な津波被害を受けた宝立地区では、宝立小中で8月末に閉鎖された避難所が再び開設され、約30人が身を寄せた。新設の仮設住宅へ22日に移る予定が、当面避難所暮らしが続くことになる住民もおり、運営責任者の多田進郎さん(69)は「せっかく明るい兆しが見えていたのに」と悔しがった。 氾濫した若山川流域の若山町は国道249号が各地で寸断された。若山地区区長会長の北風八紘さん(81)によると、若山小に避難した住民の中には「家は地震に耐えたのに、どうして今を失うことになるのか」と嘆く人もいたという。 仕事で外出していた外浦側の馬緤町区長の吉國國彦さん(59)は「自宅に戻れず、1月1日に戻ったような気分だ」と不安を募らせた。