おき歩き一年の幸福祈願 信濃比叡広拯院で火渡り護摩 阿智村
阿智村園原の信濃比叡広拯院(村上光田住職)で11日、厄除けと無病息災、招福を祈願する火渡り護摩「大火生三昧(だいかしょうざんまい)」が行われた。修験者姿の僧侶に続いて厄年の男女や観光客約200人がはだしでおきの上を歩き、一年の幸福を願った。 火渡り護摩は天台宗の荒行で、広拯院では開祖の最澄上人とのつながりを伝えようと始めた。奉賛会と昼神温泉郷の旅館などでつくる実行委員会が建国記念日に合わせて30年以上続けている。 この日、伝教大師像前で観光客や地域住民が見守る中、村上住職ら僧侶たちが太鼓に合わせて経文を読むなど儀式を行い、正午過ぎにうず高く積み上げられたヒノキの枝に点火。勢いよく炎が立ち上ると、村内外から寄せられたお札や護摩木を投げ入れた。 約1時間後、燃え尽きたおきを平らにならして塩で清めると、熱さの残るおきの上を気合を入れて渡った。厄年の人々に続いて観光客や住民も続き、厄除けや無病息災を願った。 今回が2回目の参加という阿智村の男性(39)は「めちゃくちゃ熱くてやけどしたかと思った。厄がはらわれてすっとした気分」とすがすがしい表情を浮かべた。 村上住職(91)は「被災した能登半島の早期復興と皆さんの安全を祈願した」、岡田光正副住職(36)は「さまざまな人のおかげで30年にわたって続けられていることに感謝したい」と話していた。