野生イノシシ「豚熱」感染防止へワクチン散布…佐賀県唐津市など「今頑張れば抑えられる」
佐賀県唐津市内で野生イノシシが家畜伝染病「CSF(豚熱=豚コレラ)」に相次いで感染したことを受けて、県や同市の豚熱対策本部は13日、感染したイノシシの発見箇所一帯で豚熱ワクチンの散布を始めた。14日にかけて、同市のほか、伊万里市、玄海町でも実施する。(喜多孝幸) 【写真】散布が始まったワクチン
唐津市では今月に入って東山地区などで4頭(13日現在)の感染が確認されている。散布は農林水産省と国立研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構」(農研機構)が協力し、イノシシに食べさせる経口ワクチンを、発見箇所の半径2キロ圏で重点的にまく。2キロ圏では1000個、唐津市、伊万里市、玄海町の10キロ圏では計600個を散布する。
唐津市の県唐津総合庁舎には13日朝、地元猟友会員ら作業に当たる11人が集まった。農水省動物衛生課の永田知史課長補佐が「散布に当たる人数と範囲を絞り、イノシシが逃げないよう対応したい。野生イノシシの感染が続くと、地域の養豚業へのリスクが続く。徹底して抑え込みたい」と話した。
イノシシの生態に詳しい農研機構の平田滋樹・上級研究員は防疫上の注意点などを説明。「今回は感染地域が限定的だと考えられるので、今頑張ればワクチン散布と捕獲の強化で抑えられる」と語り、野生イノシシの行動を分析した最新の知見を用いてワクチンを食べやすくする工夫を施す、とした。
平田上級研究員は「イノシシのいるところは大量に豚熱ウイルスが広がっている可能性がある。人が近づいて広げないように注意して行動してほしい」と呼びかけた。
今回の事態を巡り、県は、県内全ての養豚農家27戸に連絡し、飼育されている約6万4800頭に異常がないことを確認している。