「びっくり箱」開いた智弁和歌山、平田の初満塁本塁打で逆転勝ち 独自大会
高校野球の和歌山独自大会は1日、和歌山市の紀三井寺公園野球場で3回戦があり、2020年甲子園高校野球交流試合に出場する智弁和歌山が平田晃将(こうすけ)=3年=の逆転満塁本塁打などで市和歌山を7―4で降し、8強に進出した。 【智弁和歌山は伝統の強打健在】 中谷仁監督の「びっくり箱」という表現がぴったりな9番・平田の一発だった。 1点を追う六回1死満塁。「外野に運べれば」と高めの直球を引っ張ると、打球は左翼スタンドに飛び込んだ。公式戦2本目のアーチがグランドスラム。「野球人生初。うれしい」と前の走者を追い越しそうな勢いで走るほど喜びを爆発させた。 昨年はセンバツでベンチ入りし、秋は3番を任せられた。だが、今年6月の練習試合で絶不調に陥り、今大会は背番号が「5」から「10」に変更になった。 初戦も途中出場で2打数無安打だったが、この試合では先発に抜てきされた。中谷監督は「この3日で調子が上がってきた。そろそろびっくり箱が開きそうな気配があった」と明かす。 その気配を感じさせないのも「つかみどころがない」(中谷監督)平田の特徴だ。四回1死二塁の好機では空振りするほど全くタイミングが合っていなかったが、中谷監督は「全然あかんなと思った後に本塁打を打ったりする」と信じて、六回の満塁機もそのまま平田に任せた。そして「びっくり箱」が開いた。 驚かせた当の本人は「交流試合では1桁の番号を取り戻したい」と真顔で答える。周りが驚かなくなるほど安打を量産すれば、背番号「5」で甲子園の舞台に立てるはずだ。【安田光高】