flumpool山村隆太「“自分も中途半端なことをしていたらダメだな”と…」人生の転機となった“教育実習のホームルーム”を振り返る
◆最後のホームルームで…
松下:教育実習に行かれていたときもバンド活動をされていたんですね。 山村:重きをおいていたのはバンド活動だし“音楽を仕事にしたいな”と思ってやっていましたね。 松下:当時から“音楽でやっていきたい”という気持ちのほうが大きかったんですか? 山村:そうですね。だからある意味、言葉は悪いですけど、教師は音楽がうまくいかなかったときの保険というか。本当はそういう気持ちで教育実習に行ったらいけないんですけど、当時はそんな気持ちでした。 松下:じゃないと教室でギターを弾かないですよ。 山村:(笑)。もう未練タラタラでやっていましたね。 松下:上京される決断は、どのタイミングだったのですか? 山村:当時は、自分のなかですごく揺れ動いていたんですよね。音楽もうまくいっていなかったし、覚悟を決めるための教育実習だったんです。それで最後のホームルームのときに1時間(授業する時間を)いただいたんです。担当教員の方がすごく優しくて「何でも良いから、子どもたちに好きなことを伝えてあげて」ということで。 そこで……いま考えたら“何を血迷ったのか”って思うんですけど、当時の路上ライブでもやっていた“夢を追いかけろ”という思いを込めた曲を歌って「夢を追いかけてください」みたいなことを伝えて。 松下:ずるいっ! 山村:(笑)。でも、夢に迷って保険をかけている男が、子どもたちに純粋に「プロ野球選手になりたい」「お医者さんになりたい」とキラキラした目で語られて、3週間接していくなかで“自分みたいになって欲しくないな”という気持ちになって、その思いも込めて歌ったんです。 そうしたら、すごく感動してくれて泣いてくれる子もいたりして、(自分が)迷っている場合じゃないなと。 松下:逆に、いろんなものを教えてもらえた時間だったんですね。 山村:そうですね。子どもたちの瞳を見て“自分も中途半端なことをしていたらダメだな”って感じたことで、上京につながりましたね。(子どもたちに)偉そうに“何かを伝えよう”“教えよう”という感覚でやっていたところを逆に教えられて。このきっかけがなければ、僕は今ここにいないです。 松下:大人にならなきゃ分からないこともたくさんありますからね。 山村:確かに、そうやって人間は丸くなっていくのかなと思います。だけど、あの瞬間は心が震えましたね。 * お2人が出演されている映画「風の奏の君へ」が現在公開中です! (TOKYO FM「Grand Seiko presents My Time My Story」2024年6月8日(土)放送より)