三菱電機の遠隔操作ロボット、実用化へあと一歩 クボタの全地形対応車両とコラボ出展
三菱電機の電子通信システム製作所(兵庫県尼崎市)が開発した遠隔操作ロボットDiaroid(ダイアロイド)が、5月30、31日にインテックス大阪(大阪市住之江区)で開催された「関西ロボットワールド2024」で披露され、関心を集めた。 【関連写真】三菱電機の馬場リーダー(左)とクボタの平岡さん Diaroidは、人の代わりに作業する遠隔操作の人型ロボット。同製作所が手掛けたハワイ・マウナケア山頂のすばる望遠鏡や、チリ・チャナントール高原のアルマ望遠鏡といった大型構造物の遠隔からの精密制御技術をベースに開発された。 社会貢献につながる遠隔操作ロボットの開発を2016年にスタート。今では3世代目となり、実用化の一歩手前まで開発が進んでいる。 同製作所インフラ情報システム部宇宙利用促進システム課第一グループの馬場健介リーダーは「25年度以降の実用化を目指したい」と話す。 出展したDiaroidには、不整地や凹凸などの路面でも水平を保ち、賢く走行できる〝足〟が付いた。クボタが開発中の全地形対応プラットフォーム車両KATV(仮称)の上に、2本の手がある人型のDiaroidの胴体が鎮座している。 KATVは、傾斜地や凹凸のある路面でも、油圧ポンプで〝足〟を駆動させ、器用に曲げ伸ばしすることで、デッキを水平(6度以内)に保ったまま、人の歩くスピード以下で移動できる。 KATVのさらなる用途の可能性を探り、今回のコラボ出展につながった。クボタグローバル技術研究所機械総合研究ユニット機械研究開発第二部第二チームの平岡実さんは、三菱電機とのコラボ出展を「新しい分野を開拓し、お互いの強い事業分野を生かし、ウィンウィンの関係ができると感じている」と期待する。 馬場リーダーは「当社は屋内での用途を意識し、クボタさんは屋外で使うシステムを開発するという違い一つとっても考え方に差があり、刺激を受ける。屋外で使うものはなるべくシンプルなものが良いという考え方は参考になるし、シナジーを発揮していけそうだ」と話す。
電波新聞社 メディア事業本部 報道部