浜名湖ウナギの新ブランド「でしこ」初出荷 雌化養殖、脂乗り柔らかく肉厚
浜名湖養魚漁協(浜松市中央区)は29日、養殖ウナギの飼料に大豆イソフラボンを与えて雌化し、独自技術で品質を高めた浜名湖ウナギの新ブランドを発表した。同日、同市内のウナギ料理店に向けて約3トン(約1万2千匹)を初出荷した。まずは地元で評価を受け、全国展開につなげる計画という。 新たなブランド名は「でしこ」。伝統を守り、進化を続け、幸福を届ける―の頭文字を取った。浜名湖周辺の養殖業者が最盛期の約400軒から27軒に減るなど厳しい現状の中、外山昭広組合長(77)は「先人たちがつくった浜名湖ウナギのブランドを、われわれが食いつぶしているのではないか」との思いから約3年前に開発着手した経緯を振り返り、「今まで培った経験と技術を組み合わせ、皆さんが満足するウナギをつくった」と述べた。 稚魚シラスウナギを養殖池で育てるとほぼ雄になるが、大豆に含まれる成分イソフラボンを餌に混ぜて養殖すると「90%以上」(同組合)が雌に育った。養殖池に入れる土や水の改良や、餌を食べなくなる秋から冬にかけてウナギの食欲増進を図った結果、養殖期間が短縮された。一年を通じて安定供給できるという。 同組合理事の野寄茂雄さん(53)は「重量は通常のウナギと変わらないが、頭が小さく見えるほどふっくらして中身が凝縮されている」と話す。同組合の調べでは脂質は通常の平均が21・6グラムに対し、でしこは28・6グラム。肉厚で柔らかく、脂乗りが良いのが特長で、ウナギ料理が得意ではない人にも好まれる食感や味に仕立てた。 でしこの認定基準は出荷までに2度の品質検査をクリアすることなどを盛り込んだ。初出荷の販売価格は通常のウナギと同等に据え置いた。
静岡新聞社