世界のファンドマネジャー、中国への投資再開-政策巡るリスクはらむ
逆転現象
フォントベルで7億ドル相当の新興国株式を運用するラミス・チェラット氏は、バリュエーションと利益のモメンタムが中国・香港株の一段高を促すとみている。
同氏は1月にこの資産クラスを大きくアンダーウエートとしていたが、2月にエクスポージャーを追加し始め、現在は中立に近いポジションだ。
「グローバルマネーの一部が今、再び中国に注目している。中国をゼロとした多くのグローバルファンドは恐らく、今は中国で一定の質の高いビジネスを保有する必要があると考えているだろう」とチェラット氏は話した。
スタンスの変化は他でも見られる。S3パートナーズのデータによれば、20億ドルの「Xトラッカーズ・ハーベストCSI300中国A株ETF」の弱気ポジション残高は3月時点で浮動株の約20%だったが、6月6日にはわずか9.7%に減少した。
RBCアセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、シグオ・チェン氏は「中国はショート、それ以外はロングという構図だったが、逆転現象が起きている」と語った。
中国株の先高観に誰もが納得しているわけではない。深刻な問題が残っている。不動産市場はまだ圧迫され、消費者心理は依然として弱い。米国と中国の摩擦も続いている。中国以外の新興国市場株に焦点を絞ったETFは、引き続き安定した資金流入を呼び込んでいる。
JPモルガン・チェースのストラテジストによると、最近の不動産デベロッパー株値上がりで利益を上げたヘッジファンドもあったが、こうした銘柄の値下がりを見越しショートポジションを構築しているヘッジファンドもあるという。
まだ全く投資する価値がないとみている投資家もいる。
ナティシス・グローバル・アセット・マネジメントのグローバルマーケットストラテジー責任者マブルーク・シェトゥアン氏は、「投資家は中国経済へのエクスポージャーにかなり消極的だ。政府が一からルールを変更することが、リスクとして存在する」と述べた。