「動物を道具扱い」保護犬を“虐待”と炎上の『坂上どうぶつ王国』専門家は「予想できたはず」
それはまるで転校生が、もともといた生徒に暴力を含めた“いじめ”を受けているような映像だった。4月5日放送の『坂上どうぶつ王国』(フジテレビ系)だ。 【写真】「動物虐待」と番組が炎上…愛犬を散歩中、直撃に応じる坂上忍 「動物保護ハウス『さかがみ家』に新しい犬を受け入れる模様を伝えました。しかし新入りの犬と先住犬の間でトラブルが発生し、放送中から炎上する事態に」(テレビ誌ライター) 新たに保護された犬『レオ』と先住犬『ギン太郎』。ギン太郎がレオを敵対視している様子がみられたものの、2匹は同じエリアのドッグランに放される。ギン太郎はレオを追い回して襲いかかり、馬乗りのような状態になって噛む、噛まれたレオは鳴き叫ぶような声を上げている……。
批判が殺到
《犬が噛まれてるのになぜ笑えるんですか?面白かったですか?》 《保護を掲げている番組とは思えない》 番組のSNSには放送中から批判のコメントが相次いだ。番組内容に専門家の見解は──。 「おっとりしたレオくんをギン太郎くんと同じドッグランに放つと、ギン太郎くんがレオくんを襲うことは、初めから予想できたと思います。思わぬ行動ではないはずです。散歩中にレオくんはギン太郎くんのことを避けていましたから」 そう話すのは、獣医師の石井万寿美氏(まねき猫ホスピタル院長)。 「散歩の場面で、ギン太郎くんがレオくんに近づくとレオくんはしっぽを下げて嫌がっている動作をしています。人が間にいて、ある程度レオくんとギン太郎くんの距離があると、しっぽを上げて散歩しています。散歩の後半では、レオくんがギン太郎くんを嫌がっている様子がわかります」(石井院長)
「事件」を求める番組作り
また、動物保護団体『PEACE』の東さちこ代表も映像を見て以下のように感じたという。 「ドッグラン内の離れた場所だから大丈夫だろうと思ったのかもしれませんが、シェルター内でも先住犬のほうから吠えに行っていましたし、同時に外に出さない配慮をするべきだったかと思います。おそらく無理な頭数を抱えないようにしているだろうと感じますし、できないことではなかったはずです。先住犬のほうにトレーナーを付けたほうがいいと感じましたが、トレーナーはいないのでしょうか……。 視聴者は、飼い主に飼育放棄された穏やかな性格の犬が心乱されることなく生活していってほしいと願っていたところにこのシーンだったので、ショックは大きかったと思います。なぜ放送したのかな? と思いましたが、“バトル勃発!”のような煽りが使われていたので、やはりテレビはネタにできる事件が起きないとダメなのかなと、正直、感じてしまいました」 素人目にも散歩の時点で「ヤバい」ことが伝わる映像。世話をしているスタッフならなおのことのはず……。 「犬は、群れ社会の動物なので、どうしても縦の関係に優位に立ちたいと思っています。『さかがみ家』の犬のボスは誰なのかわかりませんが、先住犬のギン太郎くんは、レオくんより優位に立ちたいので襲いかかったのです」(前出・石井院長、以下同) 今後はどう対応すべきか。 「レオくんは、高齢の飼い主と穏やかに暮らしていたようなので、犬の群れ社会で暮らすのは、あまり向いていないように思います。『さかがみ家』の力で、シニアの柴犬でも飼ってくれる人を探すことがレオくんにとって一番いいのではと思いました。なかなか里親を見つけることができない場合は、1匹で好きにさせてあげるのがいいように思います。たくさんの犬と仲良くすることが理想ですが、シニアの柴犬であることや、今まで飼われていた経歴を考えるとそれがよいのではないでしょうか」