都の市場問題PT、小島座長「第2次報告書を提出して役割終了」
豊洲市場への移転問題を話し合う東京都の市場問題プロジェクトチーム(PT)は4日、11回目の会合を開き、土壌汚染対策を盛り込んだ第2次(最終)報告書案を協議した。近日中にまとめ、小池百合子知事に提出する予定。小島敏郎座長(青山学院大学元教授)は「この報告書の提出をもって、市場問題PTは役割を終える」と語った。
土壌汚染対策を盛り込んだ最終報告
市場問題PTは6月13日、豊洲移転案と築地再整備案を盛り込んだ第1次報告書を小池知事に提出した。ただこの報告書には豊洲市場の土壌汚染対策が含まれていなかった。土壌汚染対策を話し合う専門家会議での結論が、地下水モニタリング調査で環境基準を超す有害物質が検出されたことによって遅れたためだ。当初、報告書は2回に分けられる予定ではなかったが、同会議の汚染対策取りまとめを待って第2次報告書を作成し、提出することになった。 豊洲市場をめぐっては土壌汚染対策である盛り土が行われなかった主要建物の下、いわゆる「地下空間」の安心安全が焦点となり、専門家会議は追加の土壌汚染対策として水銀ガスなど有害物質の侵入防止するために床面をコンクリートなどで覆い、地下空間内を換気する案を取りまとめた。 市場問題PTの第2次報告書案は、これらを「念には念を入れた対策。豊洲市場の安全に資する対策」と評価した。地下水管理システムの機能強化については、地下水位を目標管理水位以下に維持するのは妥当とする一方、目標管理水位を超えた場合の対策をあらかじめ明確化すべきだと提言した。 都は2014年11月から約2年間行った地下水モニタリング調査を終える方針だが、同報告書案は、モニタリング継続によって多額の費用を投じた土壌汚染対策の効果を引き続き示して、風量被害の払拭につなげるのが有用だとした。 市場関係者からは小池知事による豊洲市場の「安全宣言」を求める声がある。これに対しては「豊洲市場用地は、法律的・科学的に安全であり『安全宣言』は奇妙」と指摘。一方で市場関係者の不安は大きいため、「『安全宣言』という単発的な対策ではなく、継続的な情報発信とPDCAサイクルによる評価改善方策を提案する」との提言も盛り込んだ。 2016年9月に市場問題PTが設置されてから約11か月弱。小島座長は「いろいろな意見を持った委員の方々と活発な議論ができた。極めて有益だった」「過程ではさまざまな資料も出てきて、市場問題の見極めもできた」と振り返った。 (取材・文:具志堅浩二)