【デーブ大久保コラム】巨人が補強した2人の選手はチームにメリットしか与えません
素晴らしい補強になると思います。巨人は楽天を自由契約になった田中将大が加入間近、FAでソフトバンクから甲斐拓也と契約をしました。2人とも入団できれば、メリットしかないです。(※12月24日、巨人が田中将大の獲得を発表) 【選手データ】田中将大 プロフィール・通算成績 まずは将大(田中将大)の話からしましょう。皆さん、力が落ちた、と言っていますが、そんなの当然ですよ。36歳、力は確実に落ちています。でも2024年の菅野智之のような例もあるんですよ。しかも将大は投球テクニックがありますので、まだ十分に通用します。 それに東京は仙台に比べて温かいですし、巨人の二軍の施設などは12球団最高レベルですので、オフなどでの調整はしっかりできるはずです。さらには本拠地・東京ドームは年中同じ気温で野球ができる場所。こんな素晴らしい環境の中で投げられたら、復活する可能性は十分にありますから。 また、将大の野球に対する取り組みも素晴らしい。勝っても負けても、気持ちの浮き沈みなく同じように人と接しますし、ストレスを与えない。それでいて黙々と自分のやるべき練習をやっていく。若い選手たちにとっては、最高のお手本がそこにあるんです。目の前に「本物の投手」という教科書があり、自由に質問もできたりする。何のデメリットがあるのでしょうか? と聞きたくなるくらい。 甲斐の獲得にも大賛成です。大城卓三や岸田行倫などがいるのになぜ……と思っているファンも多いとは思います。でも、甲斐獲得に動かせてしまったのも、彼ら捕手の責任でもあるんです。誰も正捕手になれなかったからなんですよ。これがヤクルトの古田敦也さんや西武の伊東勤さんのような捕手であったら、獲得に動きますか? 巨人は勝たないといけないのです。つまり彼らが正捕手に定着できなかったということの裏返しでもあるんです。 また甲斐が入ることで、今までと違ったリードが絶対に見られます。多分ほかの5球団は最初のほうは戸惑うと思いますね。いまだにセ・リーグは外角中心の配球です。私が西武から巨人に移籍したときに「いいリードするなあ」とほめられましたが「パ・リーグでのリードをしているだけだけど……」と不思議に思っていました。 いまでもパ・リーグは内角をしつこく突いていくリードが多いんです。ぶつけても次の打席でオレが当たればいいんでしょ? くらいの気持ちで捕手はサインを出していますから。甲斐は私が見る限り、ほかの捕手よりも内角へのサインが多いです。しかも何球も続けたりする。 それともう一つのメリットは強肩ですよね。盗塁阻止率は大城や岸田のほうがいいはずですが、巨人に入ることで甲斐のそれはさらに上がると思います。なぜなら巨人の投手陣はみんなクイックがうまいし、早いからです。甲斐の肩はまだ衰えていないはずですから、大きな武器になります。もしスタメンを外れても、抑えの捕手として7回くらいから座ってもいいですよね。これだけで相手走者は脅威になるんですよ。
週刊ベースボール