【澤野弘之】ジャンルを超えた最高の楽曲群!至高のライブレポート
続いてmizukiは
続いてmizukiは、アニメ『86 -エイティシックス-』第1クールWエンディングテーマ「Avid」と、「EGO」、さらにアニメ『アルドノア・ゼロ』挿入歌「Keep on keeping on」をパフォーマンス。「EGO」は、オリジナルとは異なるリズミカルで希望的な明るさを持ったアレンジ。mizukiは、このバージョンをライブで初めて歌ったとのこと。透明感のあるボーカルが観客を惹きつけ、目の前にはアニメの雄大な世界が広がった。またMCでは「いい意味で変わってないなと思った」と、澤野と出会って10年以上が経つことに感慨ひとしおといった様子だった。 一方、2年前に澤野のプロデュースでデビューしたSennaRin。まずは放送中のアニメ『龍族-The Blazing Dawn-』主題歌「IVORY TOWER feat.SennaRin」と、TVドラマ『院内警察』オーブニングテーマ「NOD」をメドレーで披露。ピアノとしっとりとしたボーカルだけによる、音源とは異なるアレンジで披露した「IVORY TOWER」から、「NOD」では一転エレクトリカルなバンドサウンドに乗せて、パワフルなボーカルを聴かせた彼女。他にリリースしたばかりの1stアルバム『ADRENA』に収録の新曲「mЁЯR0r」やアニメ『進撃の巨人Season 2』の楽曲「Call of Silence」のカバーも歌唱。「mЁЯR0r」はダークヒーローやヴィランにフォーカスし、彼女自身が作詞を手がけたもの。変則的なリズムのサウンドに乗せて、エモーションがあふれだすような、パワフルな歌声で会場を圧倒した。 ライブも終盤、澤野のピアノのアドリブ演奏が続き、ふとCHAGE&ASKAの「SAY YES」のフレーズが差し込まれるという心憎い演出で、御大ASKAがステージに現れると、会場は割れんばかりの拍手と大歓声に包まれた。 まずはアルバム『V』に収録された「地球という名の都」を披露。まるで大地の鼓動のような力強いビート、それこそがメッセージだと思えるASKAの太く温かなボーカルに、会場に手拍子が広がる。続いて3枚目のアルバム『R∃/MEMBER』に収録の「EVERCHiLD」をカバー。こちらもスケールの大きなビートが広がる楽曲で、未来に向けた希望や願いが込められている。ASKAのボーカルの持つオーラとパワーに圧倒されていると、突然「ごめんごめん!」と言って演奏をストップさせたASKA。どうやら自身で納得のいかないところがあったようで、自らやり直しを要求。ちょっと慌てた様子の澤野に説明し、「よし行こう!」と言ってもう一回。ユーモアを兼ねた。 MCでは、小学生の頃にASKAの歌と出会い、影響を受けて音楽家になり、現在に至っていることを説明した澤野。「でも澤野くんの曲を聴いて、どこに僕の影響が出ているのか、全然分からなくて(笑)」と、照れ隠しをするように笑ったASKA。「せっかくなのでこのメンバーで、ASKAさんの曲をカバーしたい」(澤野)ということで、コーラスにSennaRinも加え、最後に「WALK」をカバーした。 同曲について「ヒット曲を作ることを意識せず作った曲」とASKA。「40年やって来たけど、僕らと共に生きて来た世代の人もいれば、今ここには若い世代の人もいて。でもこれが、長くやることの意味だなと実感します」とコメントした。 まるで夜のような静かなムードで始まり、徐々にR&B調のメロディやハイトーンのコーラスが広がって、少しずつ夜明けを迎えていくような同曲。まったりとしたビートに乗せて、終盤はどこかゴスペルを彷彿とさせるような、重厚なコーラスが会場を包み込む。観客は曲に身を委ね、ゆっくりと身体を揺らして同曲に込められたメッセージを噛みしめた。 最後にがっしりと握手を交わしたASKAと澤野。気づかないうちに、涙がこぼれていたという人は多かっただろう。 ちなみにSawanoHiroyuki[nZk]が2017年に発表した2ndアルバムは『2V-ALK』(ウォーク)で、同作には「VV-ALK」(ウォーク)という曲も収録。この時からこの日のための、大いなる伏線が始まっていたと考えるのは、少々大げさすぎるだろうか。
榑林 史章