石原さとみ、ルックスの評価に、演技力の評価が追いつく
約4年ぶりの舞台出演となった「密やかな結晶」、あと2話を残すのみとなった連ドラ「アンナチュラル」(TBS系)、ともに好調な石原さとみだが、今年はよい転機になりそうだ。
後半2桁台キープのドラマ「アンナチュラル」 実力派集結の舞台で主演「密やかな結晶」
「アンナチュラル」では架空の研究機関UDIラボに所属する法医解剖医を演じ、さまざまな不自然死(アンナチュラル・デス)の遺体解剖から事件や事故の真相究明に活躍する。テンポがよく飽きさせないドラマで、「シン・ゴジラ」(2016)でも共演し、ともに第40回日本アカデミー賞優秀助演女優賞に選ばれた市川実日子はじめ、井浦新、窪田正孝、松重豊、薬師丸ひろ子ら共演陣とのコンビネーションはナチュラルでいい。大ヒットしたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)の野木亜紀子氏が脚本をつとめているだけにドラマの面白さともども好評のようで、視聴率のほうも後半2桁台をキープしたままクライマックスに突入していく。 舞台「密やかな結晶」のほうは、芥川賞作家・小川洋子氏の小説を「焼肉ドラゴン」などで知られる鄭義信氏の演出により舞台化したもので、こちらも共演陣に村上虹郎、鈴木浩介、山内圭哉、ベンガルら実力派が集結する中、石原が主演をつとめている。東京芸術劇場での公演はすでに終わったが、8日からは大阪新歌舞伎座、その後は福岡と続く。石原にとっては「ピグマリオン」以来の舞台だが、この間も舞台への思いを強く持ち続けていたという。白いネグリジェ姿で美脚があらわになる艶っぽい場面も話題だ。
ルックスに対する評価に、演技への評価が追いつく
もともとルックスに対する評価が高く、米国の映画評論家・TC Candlerが選ぶ「BEAUTIFUL FACES(世界で最も美しい顔100人)」で2013年に32位にランクインして話題になると、翌14年には25位、15年には19位、16年には6位まで順位を上げた。昨年は34位とやや後退したものの、5年連続5回目のランクインを果たしている。一昨年には女性誌『美的』(小学館)の読者が選ぶ「最もなりたい顔の有名人」に贈られる「美的ベストビューティウーマン」を受賞、さらにオリコンスタイルによる「女性が選ぶ『なりたい顔』ランキング」を、北川景子の4連覇を阻止して1位獲得するなど、女性にとってもあこがれの対象のようだ。 男女ともに好感を持たれる石原だが、ルックスのみならず、一昨年あたりからは大ヒットした映画「シン・ゴジラ」や主演ドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」(日本テレビ系)など女優業に磨きがかかってきた感がある。「アンナチュラル」の発表時は、長かった髪をミディアムボブにばっさりカットしたことが話題になったが、それも役に合わせてのことという。作品に恵まれるのは、撮影現場のスタッフや地上波放送局関係者らから漏れ伝わってくる「末端のスタッフまで気配りしている」「売れているのに気取りがない」といった人柄もあるのかもしれない。なんだかんだ言って芸能界も、「この人とまた一緒に仕事したい」と周囲に思わせることのできる人が生き残っていく傾向があるようだ。 「アンナチュラル」では石原の自然体の演技も好評で、ツイッターなどネット上にも「石原さとみがこんなに演技うまいとは」「可愛すぎだし演技上手すぎだし」など、ルックスだけではなく演技力への高評価が目立つ。今後、舞台などでも実力が一層磨かれていけば、女優としての将来は明るいのではないだろうか。美人女優としてだけではなく、演技派女優としての評価も一皮むけそうだ。いま絶好調ともいえるこの年が、後から振り返って石原のよき転機の年となりそうだ。 (文・写真:志和浩司)