新型BMW840d xDriveグラン クーペは“美しきディーゼル”!!! 文化の奥深さを感じる1台に迫る
BMWの「8シリーズ グラン クーペ」に設定されているディーゼルモデルの魅力とは? 小川フミオがリポートする。 【写真を見る】新型BMW840d xDriveグラン クーペの詳細(16枚)
クーペへのこだわり
クーペ好きなら、BMWを避けて通れないはず。BMWによるクーペづくりのうまさは戦前からの伝統で、いくつもの名車を生み出してきた。直近では8シリーズがイイ。 今回乗ったのは、“4ドアクーペ”という絶妙なコンセプトで開発された840d xDriveグラン クーペ エクスクルーシブ M スポーツだ。2022年3月に追加設定されたモデルである。 ひとことで言うと、すばらしい! 操縦性も快適性も贅沢さも、そしてデザインも稀少性も、なかなかほかのメーカーでは実現できないレベルに達しているモデルだ。 2022年3月、8シリーズ全体に小変更がほどこされ、 Mスポーツバンパーやホイールを全車標準装備とし、スポーティなイメージがより強調された。 今回乗ったエクスクルーシブ M スポーツはその時に追加設定。特徴は贅沢さ、だ。 20インチの軽合金ホイールをはじめ、バイカラー(2色)のメリノレザーシート、ハンドクラフツのクリスタル製シフトノブに、パノラマガラスサンルーフが装備された。 エンジンは、3.0リッター直列6気筒ディーゼルで、最高出力235kW、最大トルク680Nmを発生。電気モーターがなくても、発進時からすばらしくパワフルだ。 かつ、ディーゼルらしくなく、上の回転域までスムーズにまわるのは、資金のBMWディーゼルエンジンを経験した人なら、ご存知のとおり。 ドイツではディーゼル燃料(軽油)がリッターあたり1.8~2ユーロもしているが、840d xDriveグラン クーペの燃費はリッターあたり12.3km(日本でのWLTCモードによる)。アウトバーンのように高速を定速でドライブするような走行においては、車体の空力特性なども手伝って、もっと伸びるだろうから、それなりに経済性もあるのだろう。 8シリーズの2ドアクーペが2018年6月のル・マン24時間レースで発表されたとき、その場にいた私は、低くて長く、かつタイヤの存在感があり、エンジンルームの大きさも強調されたデザインに、感心したものだ。 そのあと、2019年にグラン クーペが追加された時も、オリジナルの2ドアボディの美しさを損なうことなく、4ドアボディ化に成功しているのが印象的だった。 BMWの大きめなサイズのクーペといえば、日本でも、「3.0CS」(1971年)をはじめ、初代「6シリーズ」(1976年)、「8シリーズ」(1989年)と、いまも魅力を失っていないモデルばかり。 そもそもBMWは、3シリーズのクーペ(1990年のE36あたりから)を作るときも、4ドアとはボディパネルを替えるなど、かなり本腰を入れて取り組んできた実績を持つ。 そんなBMWだけに、クーペへの強い思い入れを、今回の8シリーズからも感じられる。840d xDriveグラン クーペの存在感の大きさも、同様の背景からくるものだろう。