福島県浪江町に特定帰還居住区域 政府、町の復興再生計画認定
政府は16日、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域の避難指示解除を可能にする「特定帰還居住区域」を福島県浪江町に設定した。町から提出されていた復興再生計画を申請通り認定した。大熊、双葉両町に続く設定。 浪江町の特定帰還居住区域は全14行政区の計約710ヘクタールで、帰還希望者全員の宅地や農地などを盛り込んでいる。帰還意向調査で帰る意思を示した256世帯を対象にした。生活圏を除染するため、農地や道路、神社、帰還意向のない近隣住民の住宅なども含め、広域的に設けた。町内の帰還困難区域全体の可住地面積のうち約3割を占める。 復興再生計画の期間は2029年12月31日まで。復興庁は計画期間の中で条件が整った地域から順次、避難指示を解除できるとしている。今後、環境省が区域内の除染や家屋解体などを国費で進め、町などが道路や上下水道などの復旧に取り組む。
土屋品子復興相は16日の記者会見で「関係省庁と連携しながら、除染をはじめ避難指示解除に向けた取り組みをしっかりと進めていく」と述べた。 ■「再生へしっかり取り組み進める」 吉田町長 浪江町が策定した復興再生計画の認定を受け、吉田栄光町長は「町民の皆さまからいただいた古里再生の願いに早く応えられるよう、しっかりと取り組みを進める。全域の避難指示解除に向けた方向性も出せるよう、国に強く働きかけていく」とコメントした。