歌う沢田研二の頬を流れる「涙の一粒一粒がとてつもなく美しい」 スージー鈴木氏が選ぶ珠玉の名場面
テレビ画面からあふれ出す沢田研二の魅力、あれは、何だったのだろう? スージー鈴木氏はこう分析する。 「沢田研二本人は“一等賞”という言葉をよく口にしていましたが、きらびやかな派手なものが心から好きというではないように感じます。ただ、周囲が“沢田研二”という装置を通して、色々な演出を使って、新しい世界をクリエイトしようとしていたんです。 創作本能や創作意欲を掻き立てる触媒としての “沢田研二”。当然、阿久悠や久世光彦もそうだったでしょうし、周りの鬼才たちが“沢田研二”に触発され、いろんな世界を構築しようとした。対して沢田研二は、彼らの創作本能に120点以上で答えるのを信条としていた。まさにプロフェッショナリズムじゃないでしょうか。その結果というか産物が、ここに紹介した“いくつかの場面”だと思います」 6月25日で76歳を迎える沢田研二。ライブツアーまっただ中で、まだまだ私たちを魅了してくれている。(AERA dot.編集部・太田裕子) ◎スージー鈴木/音楽評論家、ラジオDJ、作家。昭和歌謡から最新ヒット曲まで、幅広い領域で音楽性と時代性を考察する。近著に「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」(ブックマン社)のほか、「中森明菜の音楽1982-1991」(辰巳出版)「桑田佳祐論」(新潮社)「サザンオールスターズ1978-1985」(新潮社)「EPICソニーとその時代」(集英社)「平成Jポップと令和歌謡」(彩流社)など著書多数。
太田裕子