今こそ観返したい『古畑任三郎』の傑作回といえば? 大物ゲストが登場した3つの傑作エピソード
“科捜研の女”と対決した名エピソード
■シーズン2エピソード2「笑わない女」 最後に紹介したいのが、シーズン2の第2話「笑わない女」。熱心なファンのあいだでも、とくに人気が高いエピソードだ。『科捜研の女』シリーズでもお馴染みの名優・沢口靖子が、全寮制女子校の女教師を演じている。 同エピソードの魅力はなんといっても、『古畑任三郎』シリーズでも珍しいストーリー構成にあるだろう。いつもはアリバイ工作のためのトリックが事件のカギを握っているが、この回では“犯行動機”に焦点が当たっているからだ。ミステリー用語でいう「ホワイダニット」ということになる。 冒頭、沢口演じる女教師・宇佐美ヨリエが男性教師を殺すのだが、視聴者にはその動機がわからない状態で物語が始まる。古畑が事件を捜査しながらヨリエと話すうちに、「もしかして……?」とその犯行動機が浮かび上がってくるという仕掛けだ。 そして明らかになる動機はきわめて些細なもので、多くの視聴者は間違いなく「そんなことで!?」と言いたくなるだろう。しかしその動機で殺人を犯す宇佐美ヨリエという人物を、沢口が完璧に演じきっているため、不思議と納得させられてしまう。『古畑任三郎』シリーズに登場したゲストのなかでも屈指の怪演なので、ぜひその目で確かめてみてほしい。 多くの人に愛された平成の名作ドラマ『古畑任三郎』。放送開始から30年経った今でも、その魅力は決して色褪せてはいない。まだ見たことがない人も、いまだにファンだという人も、この機会に懐かしのエピソードを振り返ってみてはどうだろうか。
キットゥン希美