ヘアカット代「平均3600円」だが…圧倒的低価格の「1000円カット店」が利益を出せるワケ【登録者数51万人/税理士YouTuberが解説】
従来の「至れり尽くせり」の発想から離れる
従来の事業は、サービスなら手厚いおもてなしによる至れり尽くせりを追求し、ものづくりは高機能と多機能を追求することが大きな流れでした。 その結果、質が高い商品やサービスが低価格で手に入る社会が構築されました。 しかし、高機能化が進む世の中においても、シンプルで簡素なサービスを求める人はいます。 カット店の場合、「カリスマ美容師に切ってもらいたい」という人がいる一方には、「早く切ってほしい」「安く済ませたい」と考える人がいます。そのニーズに応えることが1000円カット店の強みです。 サービスや機能を足すのではなく、できる限り引くことを考えたことに成功の要因があります。これは、至れり尽くせりと高機能化を求める世の中へのアンチテーゼといっても良いでしょう。 異業種では、機能が少ないシンプル家電やらくらくホンなどもシンプルだから支持されている例です。
生活に密着したニーズであり、どんなに不景気でも需要がある
もう一歩掘り下げると、「髪を切りたい」というニーズが永遠に消滅しないことも重要です。人のニーズは、まず衣・食・住のニーズが根底にあります。 これらが満たされないと人は最低限の生活ができません。これらが満たされた上には、遊・休・知・美のニーズがあります。遊は遊び、休は癒し、知は学び、美は美容のことで、髪を切りたいというニーズは美に含まれます。これらが満たされることで必要最低限の生活は文化的な生活になります。 いまの日本は豊かですから、衣・食・住が満たされずに困っている人は多くありません。そのため、遊・休・知・美を通じて文化的に暮らすことが多くの人の普遍的なニーズになっています。 ニーズが普遍的であるということは市場が消滅しないということです。実際、髪は放っておけば伸び続けますので数ヵ月に1回のペースで「切りたい」というニーズが発生し続けます。 また、生活に密着しているニーズは景気の変動も受けにくいといえます。「不景気だから髪を切らない」と考える人はほとんどいないでしょう。 事業者としては、この分野のニーズに応えるサービスをつくることも成功のポイントです。普遍的なニーズを獲得することで、長期的に収益が安定しやすくなるのです。 菅原 由一 SMG税理士事務所 代表税理士 YouTubeチャンネル『脱・税理士スガワラくん』運営
菅原 由一
【関連記事】
- 「白髪染め」を卒業したら、60代のおしゃれはもっと楽しくなる!…黒髪から白髪への〈移行期〉を素敵に乗り切るための「とっておきのアイテム」【スタイリストが伝授】
- 白髪予防で食べていたのに…ワカメを過剰に摂取することで起こりえる「思わぬ健康リスク」
- 消費者は知らない…「ごっそり消えたタピオカ店」がじつは〈ビジネスの成功者〉であるワケ【登録者数49万人/税理士YouTuberが解説】
- 客足まばら&低価格な「場末のスナック」が“それでも潰れない”ワケ【登録者数50万人/税理士YouTuberが解説】
- 年間赤字額「朝日新聞・120億円」「SAPPORO・33億円」でも…企業が儲けられるカラクリ【現役・元銀行員が解説】