「予測できない力を発揮する」6年ぶり甲子園狙う沖学園 2年生の144キロ右腕が高校初本塁打のグランドスラム【高校野球福岡大会】
◆第106回全国高校野球選手権福岡大会4回戦 沖学園14―2戸畑(5回コールド)(11日、小郡市野球場) 次につなぐつもりで振り抜いた打球が98メートル先の左翼フェンスを越えた。「練習試合を含めてホームランは高校に入って初めてなんです」。顔をほころばせたのは沖学園の2年生エース、川畑秀輔だった。3回に放った満塁本塁打で、自らの投球も楽にした。 ■福岡大会32強【トーナメント表】 身長は170センチながら、最速144キロを誇る右腕。鬼塚佳幸監督(42)が「体に馬力があって、磨けば光る原石」と目を細める好素材だ。痛めていた右膝を1月に手術したことから、冬場の走り込み不足が懸念されていた。それでも今夏は全3試合に先発。コールド勝ちしたこの日は5回を2失点でまとめた。 「打つ方は100点。でも、投げる方は40点ぐらいです」。3与四球に加えて暴投、ボーク…と制球に苦しみ、川畑の自己採点は辛口だった。その横で力強く肩をたたいて、励ましたのは主将で捕手の北西一希(3年)だ。181センチの長身で強肩。初回に二盗を試みた戸畑の俊足リードオフマン、萩原望安(3年)を刺すなど相手の機動力を封じた。「足を使ってくることは分かっていたので準備していました」とうなずいた。 今春の福岡大会では初戦敗退も、5月に福岡地区大会を制して夏のシード権を獲得した。「結果が自信につながっています。今年のチームは流れに乗った時に予測できない力を発揮しますから」と鬼塚監督は可能性を感じ取っている。2018年夏以来6年ぶりの甲子園へ、あと4勝。右肩上がりの勢いを今度は、センバツ出場の東海大福岡にぶつける。(西口憲一)
西日本新聞社