幼稚園から高校まですべて公立でも1000万円かかる…少子化なのに親の負担が重い国、日本では子どもはぜいたく品なのか?
世帯年収1000万円家庭の残酷な真実 #1
かつて〝勝ち組〟の代名詞でもあった「年収1000万円」世帯は、不動産価格の高騰、実質賃金の低下、物価高、共働きで子育てに追われる夫婦の増加などによって、ギリギリの生活設計を迫られている。 【図を見る】幼小中高すべて公立でも1000万円超の教育費
様変わりした中流上位層のリアルを徹底分析した『世帯年収1000万円:「勝ち組」家庭の残酷な真実』(新潮社)より一部抜粋してお届けする。
子どもはぜいたく品なのか?
日本の子どもの出生数は1973年以降、急速に減少が続いています。戦後の1947年から49年の第1次ベビーブーム期には約270万人、高度経済成長の1971年から1974年の第2次ベビーブーム期には約210万人だった出生数は、その後減少し、1984年には150万人を割り込みました。以降も下げ止まることはなく、2022年には国の見通しより10年も早く80万人を割ってしまいました。一人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す「合計特殊出生率」は、1947年以降で過去最低となる1.26となりました(厚生労働省「人口動態統計」令和3年)。 少子化にはさまざまな要因があるといわれますが、経済的な問題は最も大きな理由の一つです。2021年に国立社会保障・人口問題研究所が行った、予定子ども数が理想子ども数を下回る夫婦を対象にその理由を尋ねた調査では、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が回答のトップとなっています。特に妻の年齢が35歳未満では78%で、実に8割近くの人が経済的負担の大きさを理由に子どもを諦めていることになります。そんな背景もあってか、一人っ子も増加しています。 ライフスタイルが多様になり、誰もが結婚して子どもを授かることを望む時代ではなくなっているとはいえ、「子どもを持ちたいと希望しても(理想の人数は)持てない」一番の理由が「お金がかかるから」というのはいささか悲しいことのようにも思えます。しかし、そうは言っても、子どもを育てるのに多額のお金がかかるというのは厳然たる事実です。 標準的な進路を歩ませるとしても、子ども1人を育て上げるには1000万円以上かかると言われています。一体何にそんなにお金がかかるのか、当事者にならなければなかなかイメージがわきづらいかもしれません。ここからは、子どもが生まれてから大学卒業までに、いくらかかるかを見ていきたいと思います。