マスク氏のような「企業家長官」…大統領室参謀「韓国では端から無理」
「トランプ氏のように、マスク氏のような企業家を使いたくても韓国では端から無理」 最近、韓国大統領室参謀は改閣と大統領室改編を控えて「破格人事は可能か」という質問にこのように答え、刷新人事の難しさを吐露した。あわせて「韓国では企業家を起用したくても白紙信託(注)問題が引っかかるのでテスラ創業者イーロン・マスク氏(のような人物)を使うのは他の国の話」と話した。(注:白紙信託とは、公職者がその在任期間中に株式などの財産を代理人に委託して管理させる制度のこと) 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が21日に南米歴訪から戻った後、弾みがつくかのように見えた人的刷新作業が遅れる雰囲気だ。大統領室高位関係者は26日、「いま大統領は両極化問題の解決策を探すのに集中している」とし「まだ人事問題に対する具体的な動きはない」と話した。 このような状況で与党圏からは「人的刷新自体が根本的に難しい現実」という言葉が出ている。大統領室関係者は「国会で個人のことがすべて明らかになることを覚悟してまで手を上げる人がいない」とし「すでに固辞した人が数名いる」と伝えた。実際、大統領室の核心関係者は「政権の序盤期から長官を提案すると半数は最初から拒否する」とし「本人に意志があっても聴聞会のことを切り出すと配偶者が反対して辞退する場合も大半」と話した。この関係者は「そのため結局残るのは公務員か教授」とし「ふさわしい人を使いたくても使えないのが現実」と話した。 尹大統領も7日の記者会見当時「事実、以前なら国政刷新や局面転換のようなものが必要だというと、寝て朝起きれば新聞1面に長次官人事が出ていたではないか」とし「(今は)ある状況が発生して人事をしなければならないという時、早期に行うことが根本的に難しい面がある」とした。 聴聞会の山を越えるためにまず投入が考慮される資源は現役議員だ。実際、朱豪英(チュ・ホヨン)国会副議長(6選)、権寧世(クォン・ヨンセ)議員(5選)らが首相として、尹在玉(ユン・ジェオク)(4選)・李喆圭(イ・チョルギュ)(3選)議員らが行政安全部長官として議論されていることも現役プレミアムが大きく働いている。だが、108議席で持ちこたえている国民の力としては、圧倒的議席を有する共に民主党が国会で各種特検法を押し通そうとしているところで現役議員を内閣に選ぶのは容易ではない。 大統領室参謀陣の間では、最近ドナルド・トランプ米次期大統領の破格人選を見て韓国の厳格な白紙信託制度を残念がる声も出ている。特にイーロン・マスク氏は第2期トランプ政府の政府効率化省トップに抜擢(ばってき)された。政府効率化省が内閣組織ではなく独立的な政府諮問機構として活動する場合、マスク氏は株式白紙信託の対象から外される可能性が高い。 大統領室高位関係者は「米国は韓国に先駆けて白紙信託制度を導入したが、韓国よりも例外となる場合が多く、弾力的に運営されていると承知している」と話した。続いて「韓国で株式が白紙信託される場合、事実上の強制売却になる」としながら「それでも上場された株式ならまだ良いが、非上場株式は安値で強制的に売却されてしまう」と話した。また別の大統領室参謀は「実際、企業を経営した経験のある専門家を招きたくても、生涯身をおいてきた企業を強制的に売却しなければならないのに誰が来ようか」と漏らした。