具志堅用高を倒せると思ったファンキーな祖父の夢を背負った、ガールズケイリン選手・宮西令奈の決意
■ファンキーな祖父の夢はアメリカをバイクで横断 加賀温泉駅を降りて、山代温泉の一帯へ向かうと、その風景に“らしからぬ” BARがある。「TRANSAM トランザム」。もうすぐ創業50年になろうという老舗BARだ。そこにちょっと変わった人たちがいる。 「ハッハッハ、若いころにね、なんだか具志堅用高に勝てるなんて思っちゃってたんだよ。世界チャンピオンになって13回も防衛した人に失礼だよね。井の中の蛙というやつ」 ファンキーな祖父はバイク乗りで、夢はアメリカをバイクで横断すること。 「いや~もう無理だと思うんだけど。アメリカ横断“Trans AMERICA”ということでトランザム」。空手で石川県のナンバーワンになった男は、その土地に根を広げていく。息子が現在のBARのマスターで高校、大学と空手で日本一に輝いている。そのファンキーな男性は、ガールズケイリン選手・宮西令奈(23歳・石川=124期)の父である。 また、マスターは宮西翼(44歳・石川=100期)の兄。今回はトランザムな人たちの話。
家族の支えに結果で応えたい
宮西令奈は昨年のデビュー時期から、NHKの名物番組「のど自慢」に出演したり、空手の演武をトークショーで行ったり、異色な活動に定評がある。父は「目立つことが好きな子で(笑)。この前はローカル番組の突撃取材に出てました」と温かく見守っている。「自分は自転車経験がないのでアドバイスとかはできないので」と、ひたすら応援している。 令奈としては家族の支えに結果で応えたいところ。「だいぶ練習での感じはいいんですよ」。ダッシュを生かして位置を取るレースがハマればチャンスにつながっている。後はその精度や、総合力を高めていく。 この地域には伊藤健詞(54歳・石川=68期)といういぶし銀のレーサーがいて、ある時「1000m、1分を切れるか」という話になったそうだ。体を鍛えていたという翼が挑戦したのが、翼が競輪選手になるきっかけ。競輪っぽさがない地域で、ファンキーな一族に火が点いた。