三重・松阪の竹上市長、けさ「感謝」 四日市の返礼品「松阪牛」取りやめに
ブランドは厳格に定義
松阪牛協議会(会長=竹上真人松阪市長、9市町)が定める生産区域外の四日市市がふるさと納税の返礼品から「松阪牛」を取り下げたことについて竹上市長は22日午前10時からの定例会見で「ありがたい。感謝しかない」と謝意を口にした。 この問題は、四日市市が市ホームページで市内事業者が提供する「松阪牛」の精肉を「四日市で子牛を生産し育て松阪牛の生産地域で肥育」した牛として返礼品にしていたもの。 同協議会では松阪牛について、個体識別管理システムに登録された黒毛和種、未経産の雌牛で、協議会の9市町内での肥育期間が「最長・最終」であると定義。一方、総務省ではふるさと納税の地場産品基準を「当該都道府県等の区域内において生産された物品または提供される役務その他これらに類するもの」と定めている。四日市市は、基準を逸脱していないことを理由に出品し続けていた。松阪市、多気郡3町を含む同協議会の8市町では「松阪牛ブランドの維持」などを目的に四日市市に取り下げを求める要望書を提出する事態に陥っていた。 竹上市長は、地場産品基準の範囲内であることを理由に「四日市市が悪いことをしていたわけでも何でもない。法律違反をしたわけでもないし、制度を逸脱もしていない」と擁護。その上で「どうして(要望書で)申し入れたかというと、この地域の松阪牛ブランドは生産してきた肥育農家がナーバスに繊細に守ってきた。(松阪牛協議会では)個体識別システムをもってかなり厳格に定義してきたが、(ふるさと納税の理念との間で)そこを逸脱しているので申し入れをした」と経緯を説明。 森智広四日市市長が21日に出品取り下げを表明したことについては「自治体間でのきしみの話は良くない。四日市市には今回、大人の対応をいただいた。要望書を出した8自治体からすれば、ありがたい話で感謝しかない。心からお礼申し上げます」と締めくくった。
事業者が取り下げ申し出 四日市市の森市長「市町間の対立、本意でない」
四日市市の森智広市長は21日午前11時から、市役所で開いた定例会見で、ふるさと納税の返礼品での「松阪牛」取りやめに関連し、事業者から辞退の申し出があったことを明かした。 森市長は定例会見で「肥育地域だけでなく子牛の生産地域にもスポットライトが当たるように」などの思いで事業者から提案があった経緯を説明。「国や県のふるさと納税の担当部署に確認し『ふるさと納税の返礼品の地場産品基準に該当する』」と回答を得ていたと弁明した。その上で社会的な反響もあり、事業者が取り下げを申し出たとし「松阪牛の(生産)区域内の市町がネガティブな思いを抱かれるのであれば、市町間での対立は本意ではない」などと理由を挙げた。 一連の騒動では、本紙も四日市市政策推進部広報マーケティング課ふるさと納税推進室(清水秀樹室長)に取材をしていたが清水室長は「メール対応で」とやりとりを指定。14日には「出品取り下げ意志の有無」など4点を質問したが返信は無いままだった。会見の21日午後3時すぎになり記者会見資料への市ホームページリンクを添付したメールが本紙に届いた。