ニキビ治療薬の化合物、発がん性物質に変化の恐れ-米検査会社が報告
(ブルームバーグ): ニキビ治療薬に配合されている化合物が、日常に使用する条件下で発がん性物質に変化し得ることを米国の検査会社が報告した。手指消毒液や日焼け止め、ドライシャンプーなどでも同様の現象が見られることが明らかになっている。
独立系の検査会社バリシュアが米食品医薬品局(FDA)に5日遅く提出した請願書によると、「プロアクティブ」やターゲットの「アップ&アップ」、「クリニーク」などのブランドのニキビ治療薬には、発がん性物質であるベンゼンに化学変化する過酸化ベンゾイルが多く含まれている。当局が調査する間、該当製品を回収するようバリシュアはFDAに要請した。
ベンゼンはガソリンやたばこの煙にも含まれ、大量に浴びると白血病を引き起こすリスクがあると、米疾病対策センター(CDC)は指摘している。消費者がよく利用する幾つかの製品に含まれていることが過去3年間に確認され、その危険性が認識されるようになった。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)やユニリーバ、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などの企業は、製品の回収にも踏み切った。
バリシュアは今回、大手小売りチェーンでの購入もしくは処方箋を通じて入手できるクリームやローション、ジェル、洗顔剤など過酸化ベンゾイルを使った66のニキビ治療薬を検査した。この結果、一部の製品にはFDAが定める最大2ppm(1ppmは100万分の1)のガイドラインに対し最大9倍のベンゼンが検出されたという。さらに、例えば高温多湿の浴室の医薬品棚に長期保存するケースなどを想定した試験では、この水準が著しく上昇することも分かった。
ターロ・ファーマシューティカル・インダストリーズが製造する「プロアクティブ」過酸化ベンゾイル2.5%クリームは、2週間余り高温下に置くバリシュアの安定性検証試験でベンゼンが1761ppm検出され、ターゲットの同様のクリームでも1598ppm、エスティローダーの「クリニーク」治療薬も401ppmに上った。