琴ノ若が琴桜に改名「自分のしこ名と思って」 祖父で先代師匠のしこ名が50年ぶり復活 サインも披露
日本相撲協会は30日、大相撲夏場所(5月12日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。大関2場所目を迎えた琴ノ若(佐渡ケ嶽)が琴桜に改名。祖父で先代師匠が現役時代に名乗ったしこ名が1974年名古屋場所以来、50年ぶりに復活した。 千葉・松戸市の部屋で、新しこ名を思わせるようなピンク色の着物姿で会見に臨んだ琴桜は「小学6年生くらいのときに『いつになったら(しこ名を)もらえるの?』と聞いたらしいんですけど。今、考えたらとんでもないことを言っているなと思いますけど、先代が『横綱の名前だから上に上がっても大関からだ』と言われたので」と改めて経緯を説明。偉大な名を継いだことに関しては「思ったより実感がないですね。『琴ノ若』と声をかけられたら反応しちゃうと思います」と冗談を飛ばしつつも、「約束していただいたことを自分の手でつかめたことは、良かったかなと思います」と喜びをかみしめた。 父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は、自らの師匠が名乗ったしこ名だけに「(呼び捨てでは)呼びにくいですよね。(部屋の)親方衆も呼びにくいのでは」と笑わせつつも、「小さい頃からの先代との約束をしっかり守ってくれた。苦しい時期もあったと思いますけど、しっかり乗り越えてよく頑張ってきたと思います」とねぎらった。下の名も「傑太(まさひろ)」から「将傑(まさかつ)」に変更。祖父は「傑将」で「まさかつ」と読ませたが、漢字の並びを逆にする形となった。師匠によると関係者に字画を見てもらったところ、縁起が良かったことから今回のような形になったという。同親方は「桜は縁起のいい花とされていますから、花と言えば桜。相撲と言えば琴桜、強く、愛される力士になっていってほしいと思います」と期待をかけた。 初めて琴桜として土俵に上がる夏場所では初賜杯を目指すことになる。大関は「もちろん優勝を目指してやっていかないといけないと思っています。名前が変わったから何かが変わるわけではない。先代の名前だと思って土俵に上がると、プレッシャーではないですけど、自分で余計な考えを持たずにやりたいので。自分は自分なので。いただいたら自分のしこ名だと思ってやっていくだけです。今までどおり、しっかりやれることをやって臨めればいいかなと思っています」と祖父ではなく自らのしこ名とすべく、奮闘していく構えだ。 さらに「この世界に入ったからには上を目指してやっていますし、しこ名関係なく先代には追いつきたいと思っています。そこをつかめる地位のところには来たと思うので、ここから鍛錬を積んで、どんどん自分らしく続けていって、上に上がれれば」と最高位への気持ちを新たにした。また「琴桜」のしこ名が入った新化粧まわしや新たなサインを披露する場面もあった。
報知新聞社