パートタイム4WDのインプレッサ!?「リトナ」に乗ってWRXより100kg軽い走りとタイトコーナーブレーキング現象を体験してみた!
前回はインプレッサ リトナというクルマについて生い立ちや、WRC参戦車両のベースとなったという経緯などを紹介したが、今回はいま改めて試乗をさせていただく貴重な機会を得たので、そのインプレッションを紹介しよう。 REPORT:井元貴幸(IMOTO Takayuki) PHOTO:MotorFan.jp 取材協力:@BOXER_GrA_GC8 【画像】スバルのパーソナルクーペ、インプレッサ・リトナ。。 4WDシステムはなんとインプレッサ唯一のパートタイム式! インプレッサ・リトナは、初代インプレッサの中でも売れ筋となるスポーツワゴンCSと同じ1.5L SOHCエンジン搭載車の5速MTと4速ATで全車がFF(GC1)と、中間グレードなるスポーツワゴンCS-XやCSエクストラに搭載されている1.6L SOHCエンジンの5速MTと4速ATで全車がAWD(GC4)でラインアップされている。 今回は1.6Lの5速MTモデルを試乗した。リトナの1.6Lモデルは全車がAWDだが、AT車がアクティブトルクスプリット式のフルタイムAWDであるのに対し、MT車はなんとパートタイム式のセレクティブAWD!初代インプレッサではこのリトナの1.6L 5速MTのみが備えるシステムという非常にレアな仕様だ。 初代インプレッサではセダン、ワゴンともにNAのMT車でもフルタイムAWDを採用する中、なぜインプレッサ・リトナだけがパートタイム式を採用したのか定かではない。ただ、リトナというキャラクターを考慮した場合、基本的にFFだが降雪地帯などで必要な場合のみAWDに切り替えられるようにすることで、普段の低燃費に貢献しているのでは?と考えられる。 AWDとFFの切り替えはシフトノブの上部に備わる4WDスイッチを押すだけ。走行中でも簡単に切り替えることが可能だ。同様の機能はスバル製の軽商用車サンバーにも装備されることで知られる。AWDへ切り替えるとメーター内に4WDという表示が点灯する。 最大出力わずか100馬力でも意外に"走る" 実際にドライブしてみるとFF状態でも比較的安定したフィーリングで、コーナーや曲がり角でもトルクステアを感じることはなく、非常に扱いやすい印象だ。 AWDへ切り替えてみるとどうか?高速道路などではリトナのか細いタイヤでも、全輪駆動ならではのどっしりした安定感が得られる。ワインディングでは緩やかな高速コーナーではリヤからしっかりと押されている感じだが、交差点や転回するような場所では、パートタイム式ならではのタイトコーナーブレーキング現象が顔をのぞかせる。 こればかりは機構上の問題なので致し方ない部分ではあるが、日常使いという点ではリトナは基本的にFFで走行し、緊急時にAWDへ切り替えるという使い方が望ましいといえるだろう。とはいえ、直結式のAWDならではのトラクションの力強さは高速走行や悪天候時に威力を発揮。これはぜひとも雪道で試してみたいと感じさせる。 また、車重の軽さが特徴的なリトナは軽快に走れる点が魅力だ。とはいえ、2.0L DOHCターボを搭載するWRX系はデビュー時のA型でも240psというハイパワーを誇り、1.6Lモデルでもたったの100psというリトナはお世辞にもスポーツモデルとは言い難い。 当時1.5Lエンジン搭載のスポーツワゴンAT車を試乗した筆者は、これならプレオL(スバル製のトールワゴンで量販グレードでもマイルドチャージエンジンを搭載していた)のほうが、まだマシと思った記憶がある。こうした記憶により、試乗車のリトナの走りには期待していなかったのだが、乗ってみると驚きの連続だった! 軽さがウリの競技ベース車「WRXタイプRA」よりさらに100kg軽い 初代インプレッサは、最も重い22BやS201でも1270kgと車両重量の軽さが今でも人気である理由のひとつだ。ちなみに現行型インプレッサはハイブリッドシステムのe-BOXER仕様車で1530kg~1580kg、純ガソリン仕様車でも1390kgと100kg以上の重量増となっているが、世界最高水準の現代の衝突安全性や高いレベルでの走りを担保するボディ剛性を考慮すると、重量増だけをネガ要素としてしまうのはいささか現行車が可愛そうといえる。 そんな軽量自慢のGC/GF系インプレッサにおいて、リトナは1.5Lモデルで1020kg(MT)~1060kg(AT)、1.6Lモデルでも1080kg(MT)~1120kg(AT)と超軽量であることが特徴だ。GC系WRX最軽量といわれる最初期モデル(A型)WRXタイプRAが1170kgということを考えると、いかにリトナが軽量であるかがわかるだろう。 MTという自由自在にパワーを扱える状況においては、まったくもって不満を感じなかった。それどころか、登坂路では軽さを武器に舞うようにコーナーを駆け抜ける。ATではまた違った評価となるかもしれないが、少なくともMTではむしろ楽しささえ感じる走りに舌を巻いた。
井元 貴幸
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