第一線で働いてきた介護士が伝授「介護施設の当たり外れを見極める」納得のコツ “オムツ交換は定時のみ”という劣悪な施設も
国立社会保障・人口問題研究所のデータを基にしたニッセイ基礎研究所の推計によれば、令和7年には65歳以上における認知症の総数が1000万人を突破するといいます。人生100年時代を迎えた現在、誰にとっても身近な問題となった「認知症の介護」に向き合うためには、信頼できる介護施設を選ぶことが欠かせません。18年にわたり介護の第一線で働いてきたたっつん氏が、実際のエピソードを交えながら解説する、パンフレットではわからない「介護施設の良し悪し」の見極め方とは。
※本稿はたっつん氏の新著『認知症の人、その本当の気持ち』から一部抜粋・再構成したものです。 ■介護施設の選択はなるべく多角的に判断を 在宅介護にするか、施設を利用するかは、さまざまな角度から考えて慎重に判断してほしいところです。 施設を利用しようと決めたときには、できるだけ“いい施設”を選びたいのは当然です。 その際にはどういうところがポイントになるのでしょうか。 偉そうなことを言える立場ではありませんが、最初に相談に行った際に、どのくらい親身になって話を聞いてくれるかはまず大きいはずです。
窓口になるのは相談員など、直接、介護には当たらない人だとしても、施設として入居者にどのように向き合っているのかは、そうしたところにもあらわれるものだからです。 建物が新しいか古いかといった部分だけでは判断しないほうがいいかもしれません。建物は古くてもキレイにしている施設は好感が持てます。 建物に入ってすぐ、嫌な臭いがするようなところはどんなに建物が立派でも、大丈夫かなと疑ってみてもいい気はします。ぼくのようにキャリアが長くなっていると、他の施設に行ったときにも、エレベーターで入居者のいるフロアに降りた瞬間に感じるものがあります。
「明るい感じがするな」「雰囲気が暗いな」といった単純なことですが、一般の人でも何かしら感じることがあるのではないかと思います。直感や第一印象はそれなりに大切にしてもいいのではないでしょうか。 施設内には、入居者が書いた習字などが張りだされていることも多いのですが、そうした掲示物がどこに張られているかも気をつけて見てみてください。 入居者には車椅子を利用する人が多いので、車椅子の目線に合わせて、低いところに張られているなら、入居者のことをよく考えている施設だと考えられます。