ロサンゼルス山火事、原因は? 上空からまかれているピンクの物質は何?
米カリフォルニア州ロサンゼルス周辺の山火事は、13日時点でも3地区で拡大を続けている。何が火災を引き起こしたのか。いつまで燃え続けるのか。消火活動に使われているピンク色の物質は一体何なのか。疑問についてまとめた。 この火災の死者は13日時点で少なくとも24人に上っており、行方不明も23人となっている。 火災が続く3地区で最大のパリセーズ地区では93平方キロメートル以上が焼失し、13日夜の時点で14%が鎮火された。 住宅や車など1万2000点以上の構造物が焼失したとされ、うち約7000点はイートン地区で燃えたとされる。 ■原因は何なのか 山火事の原因は調査中で、公式には解明されていない。 ロサンゼルス郡のロバート・ルナ保安官は、原因として可能性があるものについて捜査員らが調べを続けているとし、「あらゆることを対象にしている」と述べている。 アメリカで火災の原因として多いのは雷だ。しかし、パリセーズとイートンの両地区については、雷は原因ではないとされている。 その次に原因として多い放火と送電線からの発火も、今のところ公式には、今回の大火災を引き起こしたとはされていない。 ただ、イートン地区の火災をめぐっては、法律事務所「ブリッジフォード、グリーソン&アーティニアン」が13日、電力会社サザン・カリフォルニア・エジソン・カンパニー(SCE)を提訴した。同社の過失によって、今回の山火事で最大規模の火災が起きたことを示す「証拠」があるとしている。 同事務所は、SCEが「火災発生の前日に気象当局から特に危険な状況を示すPDS警報が出されていたのに、イートン・キャニオン地区を横断する架空送電線への通電を止めなかった」のが出火原因とみられると主張。独自の調査、複数のコンサルタントとの検討、SCEの公式声明、出火元とみられる動画などを基に、そうした見解に至ったとしている。 BBCはSCEにコメントを求めている。 SCEは10日、同社のインフラがハースト地区での発火に関係していないか、ロサンゼルスの消防当局が調べていると発表した。 カリフォルニア州では2022年から翌年にかけて雨が多く、植物が大きく成長した。しかし昨年は少雨でそれらの木や草が乾燥し、火が燃え広がりやすい環境が生まれていた。 ロサンゼルス中心部では昨年10月以降、降水量が4ミリしか記録されておらず、異常な乾燥が続いている。これに「サンタ・アナの風」と呼ばれる沖からの強い風が重なったことで、山火事の発生と拡大に格好の条件となっている。 ■気候変動は影響しているのか 強風と雨不足が火災を引き起こすなか、気候変動が火災の背景となっている条件を変化させ、今回のような火災が起こる可能性を高めていると、専門家らは指摘している。 カリフォルニア州など米西部の大部分は、数十年にわたって干ばつに見舞われていた。この干ばつは2年前に終息したが、火災に弱い状況が生まれた。 近年は乾燥と雨の時期が交互に素早く連続し、非常に乾燥した植生が大量に発生した。 連邦当局は、大規模化と深刻化が進む西部の山火事と気候変動に、明確な関連があるとの立場だ。 海洋大気局は「気温の上昇、干ばつの長期化、乾燥した大気などの気候変動が、米西部の山火事の危険性と範囲を増す重要な要因となっている」としている。 カリフォルニア南部の火災シーズンは、一般に5~10月と考えられている。だが、カリフォルニア州知事は、山火事が一年中発生する問題になったと指摘。「火災シーズンなどない。あるのは火災年だ」と述べている。 ■いつまで続くのか ロサンゼルスの火災がいつ終息するのか、誰にもわからない。 まだ数日間、火災が続き、さらに広がる可能性もある。 炎をあおった「サンタ・アナの風」は、14日に強い突風を伴って強まり、その後に弱まることが予想されている。危険な暴風に対して新たな警報が出されている。 草木の乾燥と雨不足という、火災の他の条件も続いている。 ■ピンク色の粉は何なのか 消火活動では上空からピンク色の粉が降り注がれている。火災現場一帯では、道路や住宅の屋根、車などがピンク色に染まっている。 当局は、延焼を食い止めるために大量に投下したとしている。 これは「フォス・チェック」と呼ばれる難燃剤で、アメリカでは1963年から消火活動に使われている。カリフォルニア州の森林防火当局も長年、これを採用している。AP通信の2022年の記事によると、世界で最も使用されている難燃剤でもある。 ピンク色については、開発したペリミター社が「パイロットと消防士にとって視覚的な補助になる」としている。数日間、日光にさらされると、土のような色に変わるという。 同社は、安全が確認され次第、温水や洗剤を使って粉を洗い落とすよう勧めている。「難燃剤は乾燥するほど、きれいに除去するのが難しくなる」という。 環境に対する潜在的な影響を問題視する声もある。森林当局の現在と元の職員らでつくる団体は2022年、連邦当局による「フォス・チェック」の使用は水質保護法違反だとして提訴。連邦地裁は翌年、訴えを認めたが、環境保護局(EPA)の許可を得ることを条件に使用の継続も認めた。 (英語記事 What's the latest on Los Angeles wildfires and how did they start? /A pink powder is being used to fight California fires. It's getting everywhere)
(c) BBC News