『進撃の巨人』最終回前にこれを読めば大丈夫! 4つの注目ポイントを整理
※本稿はアニメ『「進撃の巨人」The Final Season 完結編(前編)』までの内容に触れています。ネタバレにご注意ください。 【写真】 「進撃の巨人」完結編(後編)場面写真(複数あり) 11月4日24時よりNHK総合にて放送されるTVアニメ『「進撃の巨人」The Final Season 完結編(後編)』をもって、エレンたちの物語はついに完結を迎える。ただ、その全貌はあまりにも壮大なので、話の流れがよく分かっていないという人もいるかもしれない。 そこで本稿では、最終回でどんなポイントに注目すべきなのか、アニメ版の内容に準拠してこれまでの展開を振り返っていきたい。 まず気になるのが、人類を大虐殺する「地鳴らし」に踏み切ったエレンの真意。完結編(前編)では、自分を止めようとするアルミンたちに対して、「話し合いは必要ない」「俺を止めたいのなら俺の息の根を止めてみろ」というメッセージを放っていたエレンだが、なぜこれほどまでに強硬的な姿勢をとるのだろうか。 そもそもエレンは当初、巨人をこの世から駆逐することを目的としていた。そしてその目的はほぼ達成しかけるも、世界中の人間から自分たち(エルディア人)が憎悪されている現実が壁の外に待っていることを知る。また王家の血を引くヒストリアの手に触れた際、自分の未来を認識してしまったこともあり、急速に行動が過激化していった。 エレンはある時までジークと協力していたが、2人の狙いは別物。ジークはエルディア人から生殖能力を奪い、絶滅へと導く「安楽死計画」を企てていた。だがエレンはそうした滅亡による救済を受け入れず、むしろ壁の外にいる人類を“一匹残らず”駆逐することを目指している。 エレンは壁の外を滅ぼすことで、仲間たちを守るという目的を口にしていたが、動機はそれだけではない。壁の外の現実が子どもの頃から夢見てきた世界と違ったのを知り、「ガッカリした」という心中も吐露していた。そして全人類を虐殺する「地鳴らし」が始まった後には、ようやく「自由」を獲得したとでも言いたげな、満足そうな顔を見せている。 とはいえ、いまだエレンの行動は不可解だ。本当に人類の虐殺は避けられなかったのか。仲間たちに対して、どのような感情を抱いているのか。それを知るには、最終話を観るほかないだろう。 アルミン・ミカサはエレンと和解できるのか かつては強い絆で結ばれていた幼なじみのエレン、ミカサ、アルミンだが、今やその絆は危機に陥っている。エレンは「地鳴らし」の直前に2人を突き放し、ミカサに対しては「お前が大嫌いだった」とまで言い放っていた。 しかしアルミンもミカサも、対話の可能性を諦めてはいない。アルミンはアニと会話した際、エレンと一緒に未知の世界を旅する夢が捨てきれないことを吐露し、「まだ僕らが知らない“壁の向こう側”があるはずだと信じたい」と語っていた。またミカサも人類を救うために決戦に臨むのではなく、「遠くに行ったエレンを連れ戻す」というスタンスだ。 一方で、エレンの側は歩み寄ろうとする姿勢を見せていない。ただ、アルミンたちが自分を止めようとすることも“自由”だとして、干渉を避けている。奇妙な距離感だが、ライナーはそんなエレンの心中について、「俺たちに止めてほしいんじゃないのか?」という説を唱えていた。 リヴァイの使命は果たされるのか あれほど賑やかだった調査兵団はほぼ瓦解しており、完結編(前編)ではとうとうハンジとの別れが描かれた。そこでハンジは次なる調査兵団の団長にアルミンを指名し、その意志を受け継いだ形だ。 一方でリヴァイは、13代目の団長・エルヴィンからの“最後の命令”にいまだ囚われている。「獣の巨人」ジークの討伐こそが彼らの悲願であり、飛空艇のなかで行われた作戦会議でも「ジークは……俺が仕留める」と言い、闘志を燃やしていた。 リヴァイとジークの因縁は強固だ。エルヴィンが命をかけた作戦を決行した際は、命を奪う前にジークが逃亡。さらにその後、巨大樹の森での再戦では勝利こそ収めたものの、ジークは自爆によってリヴァイの手を離れた。 すでに戦いは調査兵団vs巨人という構図ではなくなっている。しかしそれでもリヴァイにとっては、今もなおジークこそが最大の敵なのだろう。彼らの因縁にどんな形で決着がつくのか、気になるところだ。 人類は成長できるのか 調査兵団の面々とマーレの戦士たちは、お互いに大勢の命を奪い合ってきた。胸の奥底には、憎悪の火種がくすぶっているはずだ。しかし世界の危機を前にして、彼らは助け合うことを選んだ。良くも悪くも、「地鳴らし」が始まる前まではありえなかった光景と言えるだろう。 また人類に残された最後の希望「スラトア要塞」では、巨人たちが迫るなか、マーレ軍のミュラー長官が演説を決行。彼は「地鳴らし」に対して、「我々すべての大人たち」の責任があると言い、エルディア人を迫害してきた歴史を振り返る。そして「二度と同じ過ちは犯さない」という誓いを語っていた。 憎しみに駆られて対立する人類の姿を延々と描いてきた『進撃の巨人』だからこそ、こうした展開には希望を感じざるを得ない。はたして人類は、憎しみの歴史と報復の連鎖を止めることができるのか。登場人物たちの行動が招く結果に注目だ。 なお、原作者の諫山創は最終話の放送にあたり、「今回僕の希望で少しだけラストのネームを描き直させていただきました」とのコメントを残していた。原作と違った展開が見られるかもしれないので、すでに原作の内容を知っている人も、ぜひ物語の完結を見届けてほしい。
キットゥン希美