【今月見るべき新作映画】圧倒的な映像美で誘拐事件を描く『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』
発見、感動、思索……知的好奇心を刺激する、映画好きな大人のための今月の新作を厳選! 【写真】今月見るべき新作映画3選
圧倒的な映像美の中に絶対権力による誘拐事件を描く『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』
1858年、イタリア、ボローニャのユダヤ人街に住むモルターラ家から6歳の少年エドガルドが教皇領の警察によって連れ去られた。 エドガルドは生後間もない頃、病にかかり、子守をしていた使用人の女から秘密裏にカトリックの洗礼を授けられていた。エドガルドが洗礼を受けないまま死ねば、天国に行けないことを不憫に思ってのことだったというが、たとえ使用人が授けたものであっても洗礼は有効となり、エドガルドはクリスチャンとみなされ、ユダヤ教徒のモルターラ家がエドガルドを育てることは許されない。 大切な息子を取り戻そうとあらゆる手段を講じる両親と、カトリックの権力衰退を危惧するローマ教皇側は激しく対立し、皇帝ナポレオンやロスチャイルド家ら、全世界を巻き込んだ論争へと発展してゆく。哀れエドワルドは「言うことを聞けば早く帰れるよ」という同輩少年の言葉に頼るしかなかった。
スティーヴン・スピルバーグが映画化を熱望した驚きの実話を、『夜よ、こんにちは』『シチリアーノ裏切りの美学』など、イタリア社会や歴史に材をとった珠玉作で知られる巨匠マルコ・ベロッキオが映画化。 ヨーロッパ全土にリベラルの風が吹き始めた19世紀、権力の崩壊を恐れる暴挙を重厚な映像美の中で浮き彫りにする。自由を奪われて成長したエドガルドの神とは? そして母の枕辺での残酷な別れには衝撃と涙がほとばしる。 『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』 4月26日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町他にてロードショー BY REIKO KUBO