永井豪記念館解体へ 輪島・朝市通り 市方針 全焼、損傷激しく 「新たな施設に」「残し活用を」
能登半島地震による輪島市朝市通りの火災で全焼した「永井豪記念館」が解体されることが24日、市への取材で分かった。市が輪島出身の漫画家・永井さんの作品を展示する施設として2009年に整備したが、復旧は難しいと判断した。地元が生んだ人気漫画家をたたえる同館は住民らの心のよりどころにもなっており、新たな施設として復活させることや、「復興のシンボル」として建物を残すよう求める声も出ている。 同館は、旧のと共栄信用金庫輪島支店を改修した施設と、増築した展示棟からなる。地震直後の大火に見舞われたが、耐火構造の展示棟にあったグレートマジンガー像や原画など100点余りは現存していた。 ただ、建物の損傷は激しく、市はやむなく取り壊す方針を決めた。今月21日には市内で大規模な豪雨災害も起きており、市の担当者は「解体の時期はまだ決まっていない」と話した。 同館は地震前、朝市通りの誘客スポットとして多くの観光客やファンが訪れていた。8月に開かれた朝市復活に向けた検討会の際には、朝市組合などの若手メンバーが観光客の滞在時間を増やすため、記念館を併設した図書館を新たに設けることを組合などに提案した。 ●「復興シンボルに」 展示棟設計・小笠原さん来社 一方、同館の展示棟を設計した建築家で元金沢工大講師の小笠原幸一さん(60)=長野県山ノ内町=は24日、北國新聞社を訪れ、「大火でも残った建物を復興のシンボルとして後世に伝えたい」と語った。市の判断に一定の理解を示しながらも、同館を「市内外の人が集う場や震災情報を次世代に伝える施設として活用できないか」と指摘した。