イスラエルがガザ北部空爆、少なくとも93人が死亡・行方不明 「恐ろしい出来事」とアメリカ
パレスチナ・ガザ地区北部の町ベイトラヒアで29日、イスラエルの空爆があり、少なくとも93人が死亡または行方不明になっていると、イスラム組織ハマスが運営するガザ保健省が発表した。 救助隊によると、5階建ての集合住宅が攻撃を受けた。ソーシャルメディア上の複数動画には、毛布をかぶせた複数の遺体が横たえられているのが映っている。 イスラエル国防軍(IDF)は「本日(29日)ベイトラヒアで民間人が被害を受けたという報告があることを認識している」とし、この事案の詳細について調査中だと付け加えた。 IDFはこの2週間ガザ北部で、ジャバリア、ベイトラヒア、ベイトハヌーンの各地域を中心に活動している。 ジャバリアにあるカマル・アドワン病院のフッサム・アブ・サフィア院長はAFP通信に対し、病院では子供たちを治療しているが、スタッフや医薬品の不足で苦慮していると語った。 「(IDFが)私たちの医療チームや従業員を拘束したため、カマル・アドワン病院には応急処置用品以外何も残っていない」 IDFは先週、カマル・アドワン病院を、ハマス戦闘員に使用されているとして急襲した。 ■「恐ろしい結果もたらす恐ろしい出来事」 米国務省のマシュー・ミラー報道官は29日、アメリカは「この出来事(29日の空爆)で民間人の命が失われたことを深く懸念している。これは恐ろしい出来事で、恐ろしい結果をもたらした」と述べた。 そして、「二十数人の子供が殺害されたとの報告」があるとした。 この攻撃による「悲劇的な民間人の犠牲」は「我々がなぜこの戦争を終わらせる必要があるのかを、改めて思い起こさせるもの」だと、ミラー氏は述べた。 イスラエルはガザ北部での作戦はハマスの再編を阻止するためのものだと主張。また、ハマスが民間人の中に潜り込んでいると非難している。ハマス側はこれを否定している。 イスラエルは29日の声明で、ジャバリアで40人の「テロリスト」を殺害し、ガザ中部では過去24時間で、「(イスラエル)部隊の近くに爆発物を仕掛けようとした」者を含め「多くのテロリストを排除した」とした。 ■深まる人道危機 ガザ北部では数十万人が絶望的な状況で生活しており、人道危機が深まっている。 国連のフォルカー・トゥルク人権高等弁務官は25日、「イスラエル軍は、住民全体を空爆や包囲、飢餓の危険にさらしている」と語った。 また、パレスチナの武装集団が避難民のためのシェルター内など民間人の中で活動し、民間人を危険な目にあわせていると報じられていることについて、容認できないと述べた。 イスラエルの議会は28日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のイスラエル国内およびイスラエルが占領する東エルサレムでの活動を3カ月間禁止する法案を可決した。 ハマスは昨年10月7日にイスラエル南部を襲撃し、約1200人を殺害、251人を人質としてガザに連れ去った。 ハマス運営のガザ保健省によると、これを受けて始まったイスラエルのハマス壊滅作戦により、これまでに4万2924人以上がガザで殺されている。同省のデータは民間人と戦闘員を区別していない。 イスラエルはBBCを含む報道機関の国際ジャーナリストに対して、ガザへの独立したアクセスを認めていない。そのため、現地での事実確認は困難になっている。 (英語記事 US calls deadly Israeli air strike 'horrifying')
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