パリの地で歴史の1ページが刻まれた。日本の畠山紗英は全体16位「パリ2024オリンピック」BMXレーシング種目
兄・魁の思いも背負って悲願の金メダルを獲得した榊原爽。日本の畠山紗英は転倒に見舞われるも挽回し力強いライディングで全体16位
女子カテゴリーも男子と同様に24名が出場し準々決勝、敗者復活戦、準決勝と熾烈な戦いを勝ち上がった8名が決勝にて金メダルをかけて争った。女子も準々決勝では2022年世界チャンピオンのフェリシア・ステンシル(アメリカ)が敗退し、準決勝ではロンドン2012オリンピックとリオ2016オリンピック 金メダリストのマリアナ・パホン(コロンビア)が決勝進出を逃すといった稀に見る極めてハイレベルな戦いとなった。 なお決勝に勝ち上がったのは、榊原 爽 (オーストラリア) 、マノン・ヴィンストラ (オランダ)、ゾエ・クレーセン (スイス)、ローラ・スマルダー (オランダ) 、モリー・シンプソン (カナダ)、アリス・ウィロビー (アメリカ合衆国)、アクセル・エティエン (フランス)、べサニー・シュライバー (イギリス)の8名。 今大会の決勝レースまでの展開としては全てのレースで1位を残したオーストラリアの榊原爽と東京オリンピック金メダリストのべサニー・シュライバーが調子の良さを見せており金メダル争いはこの2人かと思われた。そんな中で始まった決勝ではまさかのシュライバーがスタート後のジャンプで加速できず金メダル争いから遠のく。一方で榊原は好スタートを切り1位で第1コーナーに進入するとリードを伸ばした。 そしてそんな榊原に続いて2番手に浮上したのはスタートで出遅れたもののコーナーをインサイドから切り込んだオランダのマノン・ヴィンストラ。しかし第2ストレートは混戦で、ゾエ・クレーセン (スイス)、モリー・シンプソン (カナダ)、アリス・ウィロビー (アメリカ合衆国)の3名が横並びになる瞬間もある中でクレーセンが抜け出すとヴィンストラを猛追。その後も最終ストレートまでもつれるもヴィンストラが逃げ切り、1位に榊原、2位にヴィンストラ、3位にクレーセンという着順となった。 今回新オリンピックチャンピオンとなった榊原は、前回の東京大会の時にも優勝候補とメダルが期待されていたが転倒し脳震盪になりそのチャンスを逃していた。それから脳震盪を克服する苦しい期間も含めた3年の月日を経て、今年は全てのワールドカップの大会で優勝か準優勝するという万全な状態で今大会に出場し、全レース1度も他選手にトップを譲らず決勝も1位でフィニッシュし金メダルを勝ち取った。 会場で一緒に榊原の勝利を祝った兄・魁はかつて東京オリンピックを共に目指した世界最高峰の選手だったが、オリンピック選考中であった2020年2月に大怪我をして選手生命を絶たれた。共にオリンピックでの金メダル獲得を誓った2人だけに当時の絶望感や喪失感は計り知れないだろう。そんな兄の思いを共に獲得した金メダルへの喜びは格別に違いない。 一方で今回金メダルを獲った榊原と幼少から切磋琢磨してきたのが日本人唯一の出場となった畠山紗英。彼女も東京オリンピックでは自国開催ということもありメダル獲得が期待された選手の1人。ただその東京大会では1本目の転倒により鎖骨を骨折し棄権。怪我から復帰後も毎年骨折が続き苦しい3年間を過ごした。 なんとか過去最高のコンディションに復調して挑んだ今大会では、前回同様に1本目で転倒し過去の悲劇がフラッシュバックするほどの苦しい場面からのスタートとなったが、敗者復活戦ギリギリのボーダーラインの20位で通過。敗者復活戦では2位通過と1本目で転倒した選手とは思えない執念の走りで準決勝へ駒を進めた。 大会2日目に行われた準決勝では前日の転倒による怪我で身体が痛む中、レースに挑むもうまく3本を良い結果でまとめきれず惜しくも準決勝敗退となったが、確実に次のロスオリンピックで活かされる経験と悔しさを得た大会となった。今後の畠山のレースでの活躍に期待したい。
大会結果
<男子> 優勝: ヨリス・ドデー (フランス) 準優勝: シルバイン・アンドレ (フランス) 3位: ロメイン・マユー (フランス) <女子> 優勝: 榊原 爽 (オーストラリア) 準優勝: マノン・ヴィンストラ (オランダ) 3位: ゾエ・クレーセン (スイス) 16位: 畠山 紗英 (ハタケヤマ・サエ) *準決勝敗退
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