【福島Uプレーオフ】進め悲願のJ2へ(11月25日)
サッカーJ3福島ユナイテッドFC(福島U)がJ2昇格を懸けた初のプレーオフ進出を決めた。J2はクラブ、サポーターにとっての宿願だ。混戦模様のJ3を上位で戦い抜いた勢いに拍車をかけ、昇格を果たしてほしい。 寺田周平新監督を迎えた今季は、攻撃的サッカーによる得点力の強化に注力した。それでも、3~4月の序盤は7戦続けて白星を挙げられず、順位を18位まで下げた。 その後のチームの奮起は特筆に値する。FW塩浜遼選手をはじめ、一人一人の成長も目覚ましく、一丸となって上位へ突き進んでいった。 運営会社のACユナイテッド会長に寺部達朗氏、CEOに小山淳氏を迎え、課題の入場者数の伸び悩みにも明るい兆しが見えてきた。投資ファンドやサッカークラブ運営の豊富な経験知で財政基盤の安定とチーム力の強化、観客動員増に弾みをつけた。 福島市のとうほう・みんなのスタジアムで9月に行われた北九州戦は、ホーム戦過去最多の来場者5471人を記録した。今月17日の沼津戦では、今季2番目に多い4634人がスタンドを埋めた。
プレーオフ進出は、新たなファンを呼び込む力になる。J2昇格を決めれば、福島Uを取り巻くサッカー熱は一段と高まるはずだ。 プレーオフは、J3最終順位3~6位の4チームがトーナメントで1枠を争う。来月1日に準決勝、7日に決勝が行われる。一発勝負のトーナメントを勝ち抜くには、選手を奮い立たせる観衆の大声援も欠かせない。多くの県民、サポーターにぜひスタンドに足を運んでもらいたい。 J2では、一足先に主戦場を移したライバル・いわきFCが待つ。同じステージに再び立ち、「福島ダービー」で切磋琢磨[せっさたくま]しながら高みを極めたい。両者が競い合う姿は、郷土の活力も生む。 重要な決戦を前に、福島Uの寺田監督続投が決まった。選手の結束は揺るがない。チームを支えるホームタウンは本拠地・福島市から県内全域に広がっている。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の辛苦を地域と共に乗り越えてきた不屈の福島魂がある。悲願へあと2勝。徹底して勝ちにこだわり、戦い切る福島U真骨頂の熱いプレーに期待したい。(佐久間靖)