エアバス、A350の生産計画を変更-ボーイングへの優位性浮き彫り
(ブルームバーグ): 欧州の航空機メーカー、エアバスは、急増する需要の恩恵を受け、ワイドボディー機の「A350」の月産数に関する計画を変更する。最大のライバル、米ボーイングは引き続き信頼性の危機に陥っている。
エアバスは25日に1-3月(第1四半期)決算を発表し、2026年までにA350を月産10機とする従来の計画から、28年までに月産12機とする計画への移行を明らかにした。
1-3月の調整後EBIT(利払い・税引き前利益)は5億7700万ユーロ(約960億円)と、ブルームバーグがまとめたアナリスト調査の8億1400万ユーロを下回った。コスト上昇が響いた。
増産に備えた在庫の増加やサプライチェーンの問題により、フリーキャッシュフローは17億9000万ユーロのマイナスとなった。売上高は128億ユーロに増加し、エアバスは2月に発表したガイダンスを据え置いた。
ボーイングが1月に起きたドアプラグ吹き飛び事故を受けた危機に見舞われる中で、今年、エアバスはより順調な滑り出しとなっている。静かに優位性を推し進め、従来ボーイング支持派であった顧客からより多くの注文を獲得しつつある。
ただエアバスは、急増する需要を満たすために生産を増やす中で、依然として制約的なサプライチェーンに苦戦を強いられてもいる。同社は今年、800機の納入を引き続き見込んでいる。
ギヨーム・フォーリ最高経営責任者(CEO)はメディア向け電話会議で、「地政学およびサプライチェーン面での緊張は続いている」と語った。エアバスでは、スピリット・エアロシステムズからの分も含め、機内装備品やシステム、航空構造物などの供給が依然として逼迫(ひっぱく)している状況だという。
ボーイングはスピリット買収に関心を表明しており、エアバスはスピリットとの協議を促されている状況だ。ボーイングのデーブ・カルフーンCEOが24日、今四半期末までにスピリットと合意に達するだろうと語った後も、フォーリ氏はスピリットとの話し合いはまだプロセスの「始まり」に過ぎないと慎重な姿勢をとる。