薬がない!3年余りに渡って続く“薬不足” 工場は24時間フル稼働・増築も…薬局の苦悩「選択肢が提案できない」
「休日出勤・24時間稼働」で増産
ジェネリック(後発医薬品)メーカー大手、沢井製薬の第二九州工場。 沢井製薬では198品目を製造し、年間26億錠の生産が可能だ。 「今は交代勤務、あとは休日出勤、一部は24時間稼働している状況。スタッフに無理を言って製造してもらっている状態」と榎本裕二製造部長は話す。3年余りに渡って続く深刻な薬の供給不足を受け、工場をフル稼働させ増産体制をとっているという。 沢井製薬では、さらなる増産へ向け、現工場の隣に新たな生産ラインを建設。2024年7月には稼働する予定で、将来的には年間35億錠の生産能力を確保したい考えだ。
薬価改定、円安…業界全体で連携を
薬不足が叫ばれて3年余り。なぜいまだに解消しないのか。沢井製薬の木村元彦社長は薬不足の原因の1つを「沢井製薬で、まだ200品目以上赤字の品目がある。薬価改定で体力がそがれた中で、増産のために設備投資もできない。今の設備で何とか作ってこなしているという状況」と指摘している。 保健医療で使われる医薬品の価格、いわゆる「薬価」は国が定めていて、研究開発の費用がかからない後発品などは価格がより低く設定されていることから利益が出にくいのが実情だ。加えて薬の原材料のほとんどは海外に依存していて、昨今の円安などでコストはさらに膨らんでいる。 沢井製薬の木村社長は、一社の取り組みだけでは限界があるとして、業界全体で連携を取るなど解消に向けて動いていきたいとしている。 「生産の余力をどれだけもう1回、数年前の状態に戻すか。余力があればトラブルが起こってもまた解消できる。しっかりとリーダーシップをとって今の課題に積極的に取り組む」とコメントした。 私たちの命と健康に関わる医薬品不足。「いつでも安心して薬を受け取れる」日は戻ってくるのだろうか。 (テレビ西日本)
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