<センバツ・この選手に注目>/6 日当直喜投手(東海大菅生・2年) 自分が一番、熱いハート
◇日当(ひなた)直喜投手 190センチ、105キロの高校生離れしたマウンド上の姿だけで、スケールの大きさを感じさせる。最速149キロの直球でぐいぐい押し込む剛腕が、気合十分で大舞台に挑む。 7人きょうだいの5番目として、たくましく育った。食欲旺盛だった少年は、いつも周囲の友達より頭一つ抜けて大きかった。野球好きの父親の影響で、小学1年から白球を追い始めた。最初は捕手だったが、中学2年でチーム事情で投手を任されるようになり、才能が開花した。 最大の魅力は力強い直球で、左足を大きく上げる豪快なフォームから繰り出す。捕手の北島蒼大(2年)が「コントロールが良くて信頼している」と語るように器用な一面もあり、落差が大きいフォークや球速差があるスライダーも制球良く操る。冬は新しい変化球の習得に取り組んだ。 昨秋の公式戦では走者を再三背負うものの、ホームを踏ませない粘り強さが光った。東京大会など計46回を投げて6失点。防御率は0点台と抜群の安定感だった。 特に東京大会は決勝まで4試合連続で完投した。準々決勝は延長十二回を投げ、2日連続の登板となった準決勝、決勝は計270球を投げ抜いた。無尽蔵のスタミナを見せたが、「アドレナリン全開で、全然元気でした。走るのは苦手だけど、投げる体力はあるんです」とこともなげに言う。 好きな言葉は「気持ちは技術を上回る」。とにかく熱い男だ。上田崇監督(29)は「打者に向かっていく闘争心が最大の魅力」と評価する。 「マウンドに立てば、自分が一番だと思っている。気持ちで抑えるパフォーマンスを見てほしい」。無限の可能性を秘めた右腕が、聖地でベールを脱ぐ。【川村咲平】=つづく