明太子のふくやの原点はアイスキャンディー 昭和20年代の味を孫が復活販売
昔も今も喜ばせたい一心で
現在、復活版「アルプスアイスキャンデー」が並ぶ店頭には、ふらっと外回り中のビジネスマンが立ち寄っては1本。小銭を握りしめた子どもの手にも1本。懐かしんで買っていく高齢者も多い。販売開始から累計1万5000本超(6月28日時点※)を売り上げているという。 「祖父は当時、『これを作ったら世の中の人が喜んでくれるだろうな』と思いながら作ったのではないか」10月5日に創業70年を迎える今は、武浩さんがそんな気持ちを込めて作ったという。 「今、祖父に食べてもらいたいのはミルク味」 実は、当時の味のままに再現した試作品を作ってはみたものの、素朴すぎて商品化は厳しいと断念していたという。だから舌の肥えた現代の人に喜んでもらえるよう、材料に工夫した。 「今は牛乳の種類にまでこだわれるようになり、材料も豊富になった。比べ物にならないくらい美味しいでしょと、祖父に食べてもらいたい」 「アルプスアイスキャンデー」は、厳選素材を使用した6種類の味がある。熊本県阿蘇郡南小国町産、高村武志牧場のジャージー牛乳を使用した「ミルク味」。 福岡県八女市矢部村産、千代乃園の無農薬玉露を使用した「抹茶味」。 福岡県産(JA柳川)のあまおうを使用した「あまおう味」。 福岡県能古島産の甘夏を使用した「甘夏味」。 佐賀県、友桝飲料のソーダシロップを使用した「ソーダ味」、 北海道産の小豆を使用した「小豆味」。福岡県柳川市にある「椛島氷菓」で、昔ながらの製法で一本一本手作りされている。
「じゃあ、ミルク味」「はいよ~」――頭がキーンとならないように目を細めながらほおばってみる。暑い日差しの中で感じるひとときの涼は昔も今も変わらない。 (取材・文:秋吉真由美)