「ダイハツ工業グループ」取引先調査 取引先は全都道府県に6,084社 生産停止で取引先の資金繰りに影響も
ダイハツ工業(株)(TSR企業コード:570229340)の品質不正の影響が広がっている。東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースから、ダイハツ工業及び主要子会社5社(以下、ダイハツ工業グループ)と1次(直接取引)、2次(間接取引)で取引のある企業は全国で6,084社あることがわかった。取引先は製造業が44.3%と半数近くを占め、サプライチェーンのピラミッド型階層を築いている。生産調整や販売休止などの影響が長引くと、取引先も大きなダメージを受けそうだ。 ダイハツ工業と主要子会社5社と1次、2次の取引がある企業を抽出した。1次取引は、仕入先が975社、販売先が576社だった。また、2次取引は仕入先が4,201社、販売先が811社で、仕入先と販売先の重複を除いた取引先合計(取引先計)は6,084社にのぼる。 取引先計は、製造業が2,695社(構成比44.3%)と4割を超え、業種別では「自動車部分品・附属品製造業」が404社で最多だった。また、資本金1億円以上が1,890社(同31.0%)、売上高1,000億円以上が514社(同8.4%)と大企業が多いが、資本金1千万円未満の中小・零細企業も761社(同12.5%)ある。都道府県別では、最多は東京都の1,209社。次いで、大阪府929社、愛知県873社と続き、全都道府県に取引先がある。 ダイハツ工業は12月20日、第三者委員会の調査でドアトリムの不正だけでなく、ポール側面衝突試験など25の試験項目でも174個の不正行為があったことを公表した。自社開発の自動車の出荷や生産も停止する。国内の生産再開時期も現状、見通せない。 生産停止が長期化すると、複層的なサプライチェーンが分断され、ダイハツ工業グループとの取引に依存する企業のダメージは大きくなる。さらに、運送業や建設業、飲食店など、様々な周辺業種にも影響が広がる。コロナ禍で業績が回復途上の企業は、生産停止の余波が資金繰りを直撃する可能性もあり、早急に支援や補償体制を整えなければ黒字倒産を招く事態も危惧される。 ※ 本調査は企業情報サービス(tsr-van2)の企業相関図から、ダイハツ工業グループの仕入先、販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分けて抽出し、業種、規模などを分析した。取引先計は、1次、2次を含め仕入先と販売先を合算後、重複を除いた。 ※ 対象は、ダイハツ工業と「会社概況データブック(2023)」に掲載がある主要子会社5社を対象にした。