「離婚したい」「したくない」平行線のやり取りに終止符を打ったのは【太田光代さん連載】|STORY
思ったより近かった箱根。 新幹線で昼食をかきこむ羽目に
旅は、東京駅での新幹線で食べるお弁当選びからスタート。夫はお肉がもりもりのわんぱく弁当を選び、私は洋風おつまみ的なアラカルトセットを買って新幹線に。ゆっくりランチを楽しもうと思ったら夫が「おい、小田原まで30分ちょいしかないぞ」と。新宿からロマンスカーだと1時間半くらいのイメージだったので「新幹線だとそんなにすぐなの?」と驚いて「ワインまで、買わなくてよかった~」とホッとしましたね。 このエピソードからも分かるように、なんだかんだと二人の旅は珍道中(笑)。出かけたら出かけたで、夫も楽しめるタイプ(顔には出ませんが)なので、旅館についてメゾネットタイプの広めのお部屋にテンションは上がり、部屋についている露天風呂も何度も入ったりして非日常を満喫していました。
とはいえ、会話は特にありません。私は相手にリアクションは求めていないんです。 楽しい会話のキャッチボールなんて期待していない(笑)。普段の夫は無口だし、特に気の利いた返しをしてくるわけでもありません。私が言いたいことを言って、好きなように返しているだけ。それでいいんです。私は言葉より、行動を求めているんですよ。口だけでいいこと言う男なんて要りません(笑)。
ガラスの森美術館で6時間もガラス工芸品作りに没頭
2泊続けて同じ旅館に泊まる予定だったので、中日は美術館巡りに。私は美術館が大好きで、観光に行くと必ず美術館に立ち寄るんです。今回も、以前訪れてグラス作りに挑戦して楽しかった「箱根ガラスの森美術館」へ。ここで作ったグラスがとても使い勝手が良かったのですが、壊れてしまったので、同じようなものを作りたくて「ガラスの体験工房」へ直行。昼ごはんを食べるのも忘れて、グラスやスプーン作りに没頭して、気づいたら閉館時間に。 私たちが滞在している間、何組もの観光客が来ては帰って行き…何回転したことか(笑)。工房の方も多分呆れていたんじゃないかしら。
2泊3日の箱根旅行は、宿も素敵だったし、お湯もよかったし、ご飯も美味しかったし、いい気分転換にはなりました。道中、ケンカもしなかったし、彼も楽しんでいたんじゃないかな。かといって夫婦関係が改善されたかどうかは疑問です。結局は、連れて行ってくれたわけではなくて、私のプランに同行しただけですからね。積極的に日程を考えて予約して、旅の段取りをしてくれたわけじゃないですもの。 ただ、お笑い界含め、世の中に息苦しい空気が漂っているなか、太田もいろいろ考えて煮詰まっている部分もあるのかな、と思うと妻としても社長としても、ちょっと考え込んでしまう部分はあります。タイタン運営の“タイタンの学校”が主催している書道展に、今年太田が出展した書が「迷走」でした。その言葉のチョイスから分かるように、爆笑問題が得意としている、時事問題や世相を辛口で斬る、みたいなお笑いが作りにくい状況です。終わらない国際紛争、戦争、年明けてすぐに能登半島の震災をはじめとして日本国内で頻発する自然災害。いつなにが起こるかわからない不穏な空気感に、太田も危機感、閉塞感を感じているのでしょう。そういう気持ちは彼とは共有できてはいると思うのですが…とはいえ、離婚は別問題! もう少しダイナミックに彼の「行動」が変わらない限り、頭から離婚の2文字は消えませんね(笑)。 撮影/河内 彩 ヘア・メーク/清水寛之 取材/柏崎恵理