『ブギウギ』草彅剛の“息遣い” をCPも称賛 物語を超える史実の「東京ブギウギ」誕生秘話
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。 【写真】明日の先行カット 「東京ブギウギ」をステージで熱唱するスズ子(趣里) スズ子の娘・愛子が生まれて3カ月。愛助(水上恒司)の母・トミ(小雪)からの「また歌うてくださいね」との言葉を胸に、ステージから遠ざかっていたスズ子が再び歌うことを決意する。 第88話では、スズ子が羽鳥善一(草彅剛)に新曲を書いてほしいと直談判。「もう一度ワテを助けてください」というスズ子の頼みに意気込む善一だったが、これまでと勝手が違う楽曲制作に苦心する。そんな中、新曲「東京ブギウギ」のメロディが降りてきたのは、列車に揺られているときのことだった。 制作統括の福岡利武は「実際に服部良一さんが列車に乗っていたときに、ガタンゴトンというリズムと、周囲の疲れている人たちを見て『前に進んでいかなきゃいけない』とインスピレーションを得た、というエピソードがあるんです」と明かす。実は、そのあと喫茶店で紙ナプキンに音符を書いたことも、レコーディングに米軍の関係者を呼んだことも、すべては史実に沿った展開なのだという。 「良一さんが『東京ブギウギ』を思いついたエピソードしかり、アメリカの兵隊さんを(レコーディングに)呼んだところ、みんながノリノリだったことから『イケる』と思ったなんて、台本を作る上ではなかなか思いつかないことですよね。ですから、そういった素晴らしいエピソードは、そのままうまくドラマに織り込みたいと思っていました」 そして、興奮した善一の息遣いが伝わってくる草彅剛の芝居。福岡は「草彅さんは『ブギウギ最高! ズキズキわくわくだよ!!』と本当に楽しんでいらっしゃいます」とし、「戦争中もいろいろなことを乗り越えてきましたが、やはり音楽を愛して、底抜けに明るく進んでいく、素敵な善一さんになっていると思います」と信頼を寄せる。 「『ブギウギ』はあまり説教臭いドラマにはしたくなくて、シンプルに視聴者の皆さんが明るく前向きな気持ちになっていただければいいなと思っています。草彅さんにも、もちろんそういった想いには共感していただいていますし、制作陣も、時代を超えて『東京ブギウギ』でみんなを元気にできたら嬉しいな、という気持ちです」 一方、第19週では善一の妻・麻里(市川実和子)が、母になったスズ子の大きな支えに。福岡は「麻里さんには柔らかさと強さがあって、スズ子にしっかりと寄り添ってくれる。ホッとする存在ですし、お芝居も素晴らしいなと思っています」と市川実和子を称賛する。 現場でも市川が趣里の体調を気遣うなど、麻里とスズ子のような関係性だといい、「市川さんの中で、“しっかりしたお母さん”を演じなきゃいけないと、所作も含めていろいろと考えていらっしゃいました。ですが現場では、撮影をとても楽しんでいらっしゃいます」と役作りの裏側を明かした。 第88話では、スズ子が麻里と母・ツヤ(水川あさみ)の姿を重ねる一幕も。福岡は「やはり出産して、1人で大変苦労しながら子育てをしている。そういう中で家事をやっていただき、休みをもらえた優しさに触れて、麻里さんの佇まいが自然と母に見えたのだと思います」と説明する。 「『子育てが大変だ』と言うは易し行うは難し、ということで、しっかりとスズ子が育児に奮闘する様子を描きたいなと思っていました。育児に苦しんでいくスズ子の姿にリアリティがあって、僕はすごく好きな場面です」 ドラマは男性スタッフ中心に制作されているが、肝心な場面で赤ちゃんが泣き出したり、疲れ果ててスズ子が洋服のまま寝てしまったりと、育児あるあるが満載。福岡は「私も娘が4歳で妻と育児に奮闘していますし、いろいろと時代が変わって育児に参加している男性も多いので、すごくリアルに描けたのかなと。なにより脚本の足立(紳)さんが、お子さんが小さな頃、熱心に育児をされていたというところが大きいと思います」と話した。 第91話では、いよいよ「福来スズ子ワンマンショー」が開幕。善一が「福来くんの復興ソングであると同時に、日本の復興ソングでもある」と願いを込めた、『東京ブギウギ』のパフォーマンスに注目したい。
nakamura omame