元男子の妻が働き、夫が専業主夫の夫婦が結婚するまでーー吉井奈々さんinterview1|STORY
「事前にしっかり話し合いを」
実は私は離婚経験があるため、夫と付き合うときや再婚するときに少し慎重になった部分も。私たちは私が元男性のトランジェンダー、私が外で働き、夫が専業主夫。子どもを持たない選択をしましたが、そのことについても事前にしっかり話し合いを行いました。例えば、私は働くのが好きなので、家事に専念するような主婦業はうまくできないこと。名字を変えるのは嫌なので、できれば彼に吉井姓になって欲しいこと。子どもは持たないこと。 名字や子どもに関しては価値観が近く、スムーズに決まりました。仕事は、最初は共働きだったのですが、二人とも忙しいと家のことが疎かになり、雰囲気が悪くなるんですよね。そのようタイミングでコロナ禍になり、お互いに働き方を見直した際に、無理してふたりで働く必要はないという結論に。夫が専業主夫となったのですが、我が家はこれが大正解。料理の腕がメキメキ上達していくし、夫的にも主夫業が楽しく合っていたようです。 今では仕事が終わって彼の料理を家でいっしょに食べるのが、私にとって幸せの時間。横並びになってテレビを見ながらいっしょに食事をして、今日あったことを話すのが至福のときですね。 写真提供/吉井奈々さん 取材/酒井明子