【大石大二郎】2発に加えて四球、佐藤輝明復調が何より明るい材料 チーム浮上カギは「つなぎ」
<広島1-2阪神>◇3日◇マツダスタジアム 阪神にとって、佐藤輝の2本のアーチは何より明るい材料になりました。2回の右翼への先制ソロは内角いっぱいを狙ったストレートがやや甘く入ってきたとはいえ、低めの球をしっかりとらえていました。 【写真】広島に連勝し笑顔の岡田監督と大竹 自らの失策をきっかけに同点とされた直後の6回、今度はスライダーを左翼席へ運びました。自身のミスを持ち味のパワーであっさりと取り返すあたりからも、復調の気配は十分感じ取ることができます。 2打席目に四球を選ぶなど、ボールの見極めから苦しんでいた最悪の状態は脱したとみていいでしょう。2軍調整を経て、少しずつ状態を上げている中で出た2本のアーチは、本人にとっても大きな自信になるはずです。 もう1つの明るい材料は先発の大竹です。キレのあるカットボールに加えて、70キロ台から140キロ台までのストレートの緩急使い分けはある意味、圧巻でした。打者の立場から言えば、スローボールを狙うことは基本的にありません。その心理も利用して、スローボールを効果的に活用した上で、自由自在に打者を料理していました。首位を走る広島との大事な試合。九里との投手戦を制した投球術は見事でした。 神宮で手痛い連敗を喫して乗り込んだ広島での連勝で首位へ2ゲーム差接近は確かに価値はあります。佐藤輝の久しぶりの本塁打も明るい材料に違いはありませんが、さらにチーム状態を上げていくには課題も見受けられます。 気になったのは5回1死から小幡が二塁打で出た後、大竹が打って出て、三振に倒れた場面です。結果論ではなく、犠打で2死三塁にして、近本で2点目を奪いにいく形はつくってもいいのではないかと感じました。つなぎの野球で昨年は日本一を勝ち取りました。そのスタイルに少しでも近づけることができるかどうかが、今後のカギになるでしょう。(日刊スポーツ評論家)