地区シリーズ第５戦を前に、記者会見する大谷（カメラ・安藤　宏太）

　ドジャース・大谷翔平投手（３０）が１０日（日本時間１１日）、２勝２敗で迎える１１日（同１２日午前９時８分）の地区シリーズ（Ｓ）最終第５戦を前に本拠地で会見し、大一番への決意を口にした。パドレスの先発は、第２戦で無安打に封じられたダルビッシュ有投手（３８）。感情を前面に出してポストシーズン（ＰＳ）を戦う大谷は「勝つことだけに全部集中できている」と雪辱を誓った。ド軍の先発は山本由伸投手（２６）でＰＳ初の日本人先発対決も実現。勝者がメッツとのリーグ優勝決定シリーズに進む。 　表情は冷静でも、大谷から決戦に向けた高揚感がにじみ出た。グラウンドには姿を見せず、ドジャースタジアムの室内で軽めの調整。会見に姿を見せると、第５戦へ揺るぎない自信を口にした。 　「昨日（第４戦）からの継続だと思う。（１勝２敗から）２連勝するゲームだと思ってますし、その１勝目を取ったというだけ。その後半戦だと思います」 　王手をかけられ迎えた第４戦では貴重な追加点となる適時打を放ち、逆王手。２勝２敗で本拠地に戻った。勝てば突破、負ければ今季終了。運命の第５戦に、再び難敵が立ちはだかる。第２戦で３打数無安打に封じられ、今季計８打数１安打と抑え込まれているダルビッシュだ。 　「一つの型に収まることなく、どういう状況でもうまく投げられる、そういう強さがある。自分もそこに対応していきたい」 　求めていた「ヒリヒリする」戦い。勝利だけを目指す中、自然に感情が表に出ている。今シリーズでは第１戦の同点３ラン、第４戦の適時打を放った際に雄たけびを上げて喜びを爆発させている。大舞台に無縁だったエンゼルス時代には見られなかったアクションを、こう自己分析した。 　「（自分に）ビックリはしてない。それも含めて自分。感情的になることがいいとか悪いとかではなく、相手にリスペクトを持ちつつ、チームを鼓舞するような感情（表現）というのは、いいんじゃないかなとは思う」 　第４戦では三塁塁審に打球が当たったことで走塁死し、怒りが収まらずベンチで放送禁止用語を口にしたようにも見えた。「もう忘れました」と一夜明けて笑い飛ばしたが、気持ちの高ぶりは自然に短期決戦モードに入っている。 　「長いシーズンの戦い方と短期決戦はやっぱり少し違う。フィールド上で多くの選手が感情的になる理由じゃないかな、と。あまり多く考えずに、自分のやることにまず徹したい」 　今季は５４発、１３０打点で２冠。打率３割１分と５９盗塁もリーグ２位と圧巻の成績を残したからこそ、自信がある。米７年目での初ＰＳ。最高のイメージを描きながら、無我夢中で駆け抜ける。 　「いいことも悪いこともほとんど忘れている。本当にあした勝つことだけに全部集中できている。相手に負けることなく強い気持ちを持って打席に立てれば、いい仕事ができると思う」 　第５戦でドジャースは山本が先発。ダルビッシュとの再戦を含め、大谷の胸は躍っている。 　「個人的に（ダルと）由伸との投げ合いもありますし、楽しみにはしている。プレッシャーもあるとは思う、個人的にすごく楽しみにはしてます」 　ダルビッシュを打ち、叫び、リーグ優勝決定Ｓへ。大谷の秋はまだ、続く。（安藤　宏太） 　◆大谷の感情むき出しシーン 　▽カモーン！　ＷＢＣ準決勝・メキシコ戦（２３年３月２０日）　１点を追う９回先頭で二塁打。自軍ベンチへ向かって両手を挙げ「カモーン！」と絶叫し、逆転サヨナラにつなげた。 　▽グラブ投げ　ＷＢＣ決勝・米国戦（２３年３月２１日）　１点リードの９回に抑えで登板し、当時エンゼルスで同僚だったトラウトから空振り三振を奪い世界一。帽子とグラブを投げ捨て、喜びを爆発させた。 　▽５０―５０　敵地・マーリンズ戦（２４年９月１９日）　５打席目に２打席連発となる５０号２ランを左翼へ。史上初「５０―５０（本塁打、盗塁）」に到達し、９点リードでは珍しく叫んだ。 　▽シャウト×３　本拠・パドレス戦（２４年９月２６日）　地区Ｖに王手をかけて臨んだ一戦で、同点の７回に右前適時打。米７年目で初優勝をたぐり寄せ、打った瞬間から何度も叫び続けた。