若き空海の名筆間近に、高野山霊宝館で企画展…奥州藤原氏の祖・清衡の発願で書写された国宝も
高野山を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を記念し、高野山霊宝館（和歌山県高野町）で19日から、山内に伝わる文化財計約60点を紹介する企画展「高野山と世界遺産」が開かれる。
企画展では、高野山と他地域との交流を示す史料を交え、真言密教の聖地の歴史を紹介。展示の目玉は、空海が24歳の時に自筆したと伝わる国宝「 聾瞽指帰（ろうこしいき）」（展示は11月10日まで）だ。
登場人物が討論形式で儒教、道教、仏教の優劣を語り、仏教が優れていることを説いている。出家を反対する家族らに向けた空海の「宣言書」とされる。仁和寺（京都市）などに収められていたが、最終的に高野山に寄進されたという。
奥州藤原氏の祖・清衡の発願で書写された国宝「 紺紙金銀字一切経（こんしきんぎんじいっさいきょう）」も出展。金と銀で1行おきに経文をしたためており、中尊寺（岩手県）から後世に高野山に移されたという。 研谷昌志学芸員は「高野山は『外界から閉ざされた修行の地』という印象が強いかもしれないが、全国の参詣者や寺社と関わって歴史が形成されたことを知ってほしい」と話す。
前期は11月24日まで。後期は同26日～来年1月13日で、一部展示替えをする。拝観料は一般1300円。問い合わせは同館（0736・56・2029）。
