中国、人民元の中心レートに「レッドライン」-米国の関税強化にらむ
(ブルームバーグ): 中国が通貨管理を強化する中で人民元の中心レートに「レッドライン」が現れ始めている。トランプ次期米大統領は中国製品に対し新たな関税を課すとしており、そうなればドル・元相場への影響は必至だ。
中国人民銀行(中央銀行)は米大統領選以後、毎営業日発表する中心レートを一貫して1ドル=7.2元より元高方向に設定している。
人民銀は26日、ブルームバーグ調査の平均予測値よりも0.7%元高水準の1ドル=7.1910元に中心レートを定めた。オンショア人民元の1日当たりの許容変動幅は中心レートから上下2%。
米国による関税強化の脅威と人民銀による通貨管理の組み合わせは、トランプ政権1期目の駆け引きを連想させる。中国は今、人民元防衛と経済成長を軌道に戻す必要性とのバランスを取ることが求められており、過度な元高でも元安でもない相場水準を探っている。
マッコーリー・グループの中国経済責任者、胡偉俊氏は「これまで通り人民銀は元を対ドルで比較的安定した状態に維持するだろう」と述べ、米国の「関税引き上げに対応するため、中国は元安よりも国内経済の刺激策に頼る」との見方を示した。
26日の本土市場で、人民元は中心レートより元安水準で推移。その開きは3週間ぶりの大きさだ。これは中国当局の支援にもかかわらず、トレーダーらが人民元に対して弱気の見方をしていることを示唆している。オフショア人民元は26日午前に一時0.4%下げた。
原題:China Draws a Red Line for the Yuan as Trump Risks Return (抜粋)
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Chongjing Li