国産セキュリティソフトFFRI、国家安全保障に傾注のワケ
鵜飼裕司(うかい・ゆうじ)/1973年徳島県生まれ。イーストマンコダックジャパンを経て、2003年に米eEye Digital Security社(現現BeyondTrust社)に入社し、サイバーセキュリティ分野の研究開発に従事。帰国後、2007年7月に当社を設立し、現職。(撮影:風間仁一郎)
「ウクライナ危機をきっかけに、事業環境がガラッと変わった」 そう話すのは、サイバーセキュリティ専業のFFRIセキュリティ(3692)の鵜飼裕司社長だ。業界では2009年に発売した国産のセキュリティソフト「FFRI yarai」(ヤライ)で知られている。 FFRIはサイバーセキュリティの中でも、パソコンなどの端末を守るエンドポイント保護の分野を得意とする。エンドポイント保護ではウィルス対策ソフトを導入するのが一般的だ。 従来のウィルス対策ソフトが、ウィルスと認定されたものをブロックする「パターンマッチング技術」に重点を置いているのに対し、FFRIのヤライはウィルスが侵入した後にデータを盗み出すような挙動を察知する、「振る舞い検知」に特徴がある。未知のウィルスや攻撃手法にも対応できる。 FFRIはこのヤライを武器に業績を伸ばし、2014年9月に東証マザーズ(現東証グロース)に上場、市場でも高評価を集め、2015年には1万8500円の株価をつけた。ただ、その後はマイクロソフトが、ウィンドウズに標準搭載の無料ウィルス対策ソフト「Windows Defender(ウィンドウズ ディフェンダー)」を大幅に強化したことや、外資系のサイバーセキュリティベンダーとの競争が激化。近年業績は伸び悩んでおり、株価も1000円程度で停滞している。
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松浦 大